映画「スティング」と私が心から驚かされた事件3つ

2024・12・1(第1249回)

<映画画像>

1973年製作の少し古い作品だが、何とも楽しい。またどんでん返しに観客皆がダマされる痛快作でもあり一見をおすすめする。

主演はロバート・レッドフォードとポール・ニューマン、監督ジョージ・ロイ・ヒル。そう!「明日に向って撃て!」のトリオの会心の作品でもある。音楽もまことに楽しい。

ネタバレになるからこれ以上書けないが、この「ダマシ」に乗るのが、観客には楽しい。

今日の私の「事件」は、米国財務長官の人選にある。スコット・ベッセント氏(63才)。何とカラ売り専門のヘッジファンドのトップだった。

新長官は、大変な経歴の持ち主である。

1991にソロス・ファンドのヘッドに就任。1992年9月16日に歴史に残る「英ポンド売り」を仕掛けて10億ドル以上の利益をもうけた。

また2013年の「アベノミクス」発足時、円キャリー取引で円を売り、ここでも10億ドル以上の利益を獲得している。

2015年にはベッセント氏はソロス・ファンドから独立し、キー・スクエア・キャピタル・マネジメント(ファンド)を立ち上げた。45億ドルのファンドだが、ソロス氏は20億ドル出資した。ソロス氏のベッセント氏への信頼を物語る。

以上述べただけでも、私がおどろかされたことがわかるであろう。私はこの方に、ヘッジファンドのバミューダでの総会でスピーチした時、お会いした。

第2はマネー・スクエアのチーフエコノミスト宮田直彦さんの最近のレポートである。

同氏の「近いうちに急落する」という予測は次の通り。

「8月5日の31,156円(8/5安値)は第(4)波の終点底であり、年末から年始にかけて最高値を更新するでしょう」

第3が先週も述べた「原油安」である。先週需給関係、とくに中国の需要悪化について述べた。今回はイーロン・マスク氏の太陽光エネルギーにより脱炭素を達成する」という主張について述べる。

マスク氏は1964年に旧ソ連の天文学者ニコライ・カルダシェフ氏が考案した文明の発展度を示す三段階のスケールがこれである。

すなわち①タイプⅠ文明=惑星で利用可能なすべてのエネルギーを利用、制御できる、②タイプⅡ文明=恒星系の規模でエネルギーを利用、制御できる、③タイプⅢ文明=銀河全体の規模でエネルギーを利用、制御できる。

イーロン・マスク氏の計算だと、地表1平方マイル当たり約2.5万ギガワットの太陽光エネルギーが放射されている。1ギガワットは原発1基の発電量にひとしい。

問題はトランプ氏とマスク氏の認識の違いである。トランプ氏はそもそも脱炭素の必要性について懐疑的である。これに対し、マスク氏は脱炭素を太陽光エネルギーで実現可能、とみている。しかし最近の情報では二人とも太陽光エネルギーの必要性については一致している、とか。

今回は「事件」のみ述べた。しかし、いよいよ相場は上っ放れ始めたと私は見ている。強気でいきましょう。

GOOD LUCK!!

関連記事

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「眼下の敵」と米・中・朝のカード切り合い

  2018・5・27 今どきは新作のいいのが少ない。「狐狼の血」はガッカリだ

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「エブエブ」とジョージ・ソロスの「ウクライナ2」そして中国の大苦境。「3月のドカ後の作戦」(第1165回)

今年度のアカデミー賞に「エブエブ」が作品賞、監督賞、主演女優賞など7冠の圧勝。「エブエブ」とは「エ

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「ウォーターワールド」と今回のウラ金騒ぎの真相。2025年からの「上り坂」の背景。今回の「ドカ」「反騰」の行方

2024・4・29(第1223回) <オールムービーより> 1995年当時人気

記事を読む

基本の話by前田昌孝(第26回、最高値更新とは何か)

日経平均株価が2月22日に1989年末に付けた最高値を上回り、日本経済が新しいステージに入ったとの

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「レッド・クリフ Ⅰ、Ⅱ」と対露戦略で人為的に下げさせられた原油価格。同盟国としての日本に投げかけられた美味しいエサと重荷  (第1129回)

1900年前の「三国志」つまり魏・呉・蜀の物語は誰も知っている。権謀術数に満ち満ちたストーリーは誰

記事を読む

PAGE TOP ↑