映画「ラーゲリより愛を込めて」と2024年米国大統領は誰になるのか。そしてNYと日本の株式市場の行方 (第1151回)

主演の二宮和也がいいので、早速観た。

シベリア抑留そのものだ。昔のことになってしまったので、席の隣の若い女性が

「こんなことがあったのね」「私は知らなかったわ」

と云う会話が胸に沁みた。

87歳の私でさえ、収容所数が2000カ所を超えたこと、68万人が抑留されたことは耳新しかった。

主人公の山本幡男という人物は、まことに類まれな、いつも希望を抱きながらシベリアで死んだ男である。帰国できた友人3人が遺言を記憶して家族に話すシーンでは、誰もがジーンと来るに違いない。(ソ連は書いたものを持つことを禁じたため)

それでも遺言の中の言葉は心を打つ。

「最後に勝つのは道義であり、誠であり、まごころである」

さて、今回のテーマの2024年の米国大統領選挙である。

材料は中間選挙の統計。それに私のワシントンの情報ソースからとった。

まず「トランプ離れ」。

出口調査では、58%がトランプを嫌い。その回答者の77%が民主党に投票している。

私のソースはトランプ嫌いで、「トランプがリーダーだった2016年以降、共和党は2018年中間選挙、2020年の大統領・議会選挙、そして2022年の中間選挙の3回敗北している。責任を問う声は、穏健派の共和党議員や大口献金家から挙がっている。」

スーツを着た男性

自動的に生成された説明

事実、3人の大口献金者が献金を止めたが、現実には小口献金(年9万円弱)が90%もファンドの比重を持つ。

トランプへの打撃は少ない。また今でも共和党有権者の35%はトランプを支持している。

共和党内では、早速2024年選挙への世論調査が行われた。

アイオワ州/デサンティス 48% トランプ37%

ニューハンプシャー州/デサンティス 52%  トランプ37%

これに対し、バイデン民主党は早速手を打っている。

ホワイトハウス内に「トランプ・プロジェクト」という特別班が設けられた。ここがトランプへの刑事捜査の特別捜査官(ジャック・スミス)と連携する。

しかし、バイデンに不利な条件も見受けられる。

80歳という高齢、40%台という低い支持率。しかし民主党内にまだ他の有力候補がいない。そこでバイデン再出馬、となるのだが、公の場での失言、勘違いが続出。これも共和党側の人気を回復させる。

そこで民主党側は予備選の開催州を一新する作戦に出た。

1972年以来、アイオワ州がトップに予備選は始まったが、今回、同州はトップ5にも入らない。

2月3日のサウスカロライナ州が手始め、2月6日にネバダ州とニューハンプシャー州、その2週間後にミシガン州になる。

この作戦は黒人、マイノリティが高い州から予備選をはじめ、民主党人気を高める、というもの。

アイオワ州は州民の86%が白人で、ヒスパニック6%、黒人5%、アジア系2%。一方サウスカロライナ州は、黒人中心のマイノリティ人口が40%を占める。まだ有力な民主党候補はいないが、ここで勝てば一挙に全米の人気を高めうる。バイデンの再選につながる。

NY株。以前から申し上げているように利上げの間は下げ相場。上がるときは空売りの買戻し。ただ、サンタクロース相場は期待していい。

一方、日本株。

いちよし証券の高橋幸洋さん作成の空売り比率のチャートをご覧いただきたい。

12月12日現在41.15%。10月以降空売りは儲かっていない。買い戻しを5ヶ月とすると、明年2月から3月。恐らく2回ついた3万円トビ台の節目を今回は抜く。

4月の統一地方選に向けての「選挙は買い」のジンクス。

実体経済の好転。好決算などなど。買い材料は多い。

インバウンド、新しいところでの半導体製造装置株に底入れが見られる。アドバンテスト(6857)、東京エレクトロン(8035)あたり、ご注目ください。(ご投資は自己責任でお願いします)

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