映画「龍三と七人の子分たち」とセル・イン・メイ
今井澂・国際エコノミスト

映画「龍三と七人の子分たち」はご存じ北野武監督の最新作で、ヤクザのコメディという新(珍?)分野に挑戦した快作。元ヤクザの組長「鬼の龍三」がオレオレ詐欺に引っかかりそうになり、詐欺の黒幕の暴力組織との闘いを決意、昔のヤクザ仲間を結集させる。

80歳をもうじき迎える私としては、平均70歳の元ヤクザというだけでもう楽しい。肉体も頭脳も老いて、何かというとすぐヘマをする元親分たち。

今週は「ビリギャル」「ラン・オールナイト」も観た。それぞれ面白かった。日曜には「ブラックハット」を観に行くつもり。

龍三親分のセリフ。

「野球選手とおんなじだよ。ヤクザも現役のときはいいけど。引退したらどうしようもないよ」。

私はおかげさまで現役のエコノミストの仕事を続けており、7月には「次」の34冊目の新作を刊行する。マーケットという、毎日いろんな材料を吸収して動きまくる怪物を取組んでいるから、年を取るヒマがない。引退なんてとんでもない。

 セル・イン・メイの底値

私は前回、

①1万9400円近辺で底入れしその後1万9800円

②1万9000円割れまで売り込まれ反発しても1万9500円

という二つのシナリオを予想した。現実には5月7日の239円安の1万9291円が底値で、GPIF、日銀ETF買いが支えて、週末引け値1万9379円。さあ、どうなる。

セル・イン・メイ、つまり5月いっぱいは調整、の見方がある。

2012年の場合。

3月27日1万255円高値から6月4日8238円まで20%下落。材料は欧州債務問題。

2013年の場合。

5月23日高値1万5942円から6月13日1万2415円まで22%安。バーナンキ発言によるショック。

2014年はアベノミクス好感で上昇だったが、今回は4月23日の2万252円の高値がどのくらいまで下がるか。

ヘッジファンドの4月に買った分の売り残しが1兆円ぐらいあると思う。またヘッジファンドの決算が5月20日なので買いに回ることはあるまい。下値はいくらか、いつか。

5月下旬まで調整。高値から1500円なら1万8752円。そこを官製相場で下支えすれば1万9000円近辺で止る。

債券から株式へ向かうマネー

そこで注目されるのは、ワールドマネーの動向だ。債券市場から現在逃げ出しかけている巨大資金が株式市場に向かえば、セル・イン・メイは「バイ・イン・メイ」に変わる。

債券価格の急落はご存じだろう。

債券王と呼ばれるダブルライン・キャピタルのCEOガントラック氏がドイツ国債の空売りを「無リスクで、巨大リターン」と主張。つれて2年もの国債のマイナス0・2%は大して変わらなかったが、10年もの国債は0・1%以下だったが、0・8%に急上昇(債券価格は下落)した。

株買いに変わる兆候は5月8日のNYダウの267ドル高(1万8191ドル)だろう。この日発表の4月労働統計は22万3000人で予想通りだったし、決算発表も格別目立ったわけではなかった。NYダウ平均株価は3月2日の1万8288ドルの高値に接近中。ここを抜いてくると、米国経済減速の中での上昇だけにアレレということになろう。

ついでに言うとイエレンFRB議長の株価がきわめて割高発言は、そこらを見てのけん制球だろう。

再び英国に巨大油田のミラクル

長期でのご投資のアイデアを。それは英国株投信。保守党勝利もさることながら、ガトウィック空港近くで埋蔵量1000億バレルの巨大油田が発見されたという報道を私は重視している。

70年代以降の北海油田が累積生産量450億バレルだから、この巨大油田の意義が分かる。

サッチャー政権時代、政府収入の16%、輸出の20%は北海原油で、国債は新規に発行せず償還だけになり、国債発行残は200%から50%に下がった。このミラクルの再現が必ずある。いま40歳代のご投資家はどうぞご検討を。ポンドもFT指数もダブルで上昇するだろう。

映画のセリフから。

かつて全員親分だった8人のうちだれが親分になるか。点数を「前科」で決める。殺人1回10点、傷害5点、懲役1年1点。これで55点の龍三が親分に。次点のマサが逮捕されたとき龍三に言う。

「出て来たら今度はオレが親分だな」

「何が?」

「だって二人刺しているもん」

「バカヤロ、てめえが出てくる頃には、みんな死んでらあ」。

私のおすすめは、死なない。どうぞご検討を。

映画「龍三と七人の子分たち」とセル・イン・メイ(第773回)

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