パール・バック「大地」とハンガーパンデミックの発生と中国の蝗害(第1029回)
ノーベル賞を獲得した名作。極貧の中国の農家・王一家の30年にわたる苦闘ぶりを描いた大河小説。大河の氾濫、蝗の大群などの襲撃―。次々と発生する打撃に耐え、大地にしがみつく一生。感動させられる一冊だ。 まず食料価格の上昇から述べよう。ブラジルのサンパウロ大学の調査は次の通り。 大豆は名目値で一年前に比べ50%台以上上昇。コーヒーはブラジルでは生産が記録的上昇だったにもかかわらず1年で45
ベートーヴェンのピアノ協奏曲ニ長調作品26-aと菅新内閣の人事、政策そしてNASDAQと日本株(第1028回)
この題を見て、すぐ内容のわかる方は、スゴイ方だ。理由は簡単。よほどのクラッシックとくにベートーヴェン通でなければ知らないからだ。私はNYで、ドイツ人の友人から教えてもらった。 このピアノ協奏曲ニ長調は、実はベートーヴェン唯一のヴァイオリン協奏曲のピアノ版。主役だけ入れ替え、メロディーは同じ。知人の結婚祝いのための編曲、だそうだ。 永らく待望していたが、9月1日に田部京子さんが「皇
自社株買いは株主還元ではなく、「企業エゴ」か。
上場企業が税金を支払った後に残った純利益や、過去の利益の蓄積の一部を株主に返す(還元する)方法には、「配当」と「自社株買い」の2つがある。 なぜ自社株買いが還元策となるかというと、株式を買い戻すと1株当たりの利益が増え、その結果として株価の値上がりや将来の増配に繋がるからである。 しかし「自社株買いは株価にも配当にも貢献していない」という否定論も見られる。株主還元と