調達額60億円!壮大過ぎるカルダノADA
実録・投資セミナー 仮想通貨編【下の㊤】

ジャイコミ編集部

投資セミナーに行けば、販売会社がどんな投資商品を売りたがっているのか、どのような口説き文句を使っているのかがわかる――。

前回のあなたも踏み出しちゃえばいいんです!に続く、仮想通貨(暗号通貨)編の最後を締めくくるのは一部において話題のADA(エイダ)コインだ。
ADAについてはネット上でも情報収集できるがイマイチ理解しにくい。そこでこの「下の㊤」でまず概要を押さえ、注意点を下の㊦で指摘したい。

セミナーは「サラリーマンの街」としておなじみ、東京・新橋で開かれた。位置的に銀座が近いからか、セミナー参加者の中にはお水な雰囲気漂う綺麗なお姉さまの姿がちらほらみられる。

チャールズ・ホスキンソンは天才すごい

ADAコインには他の仮想通貨とは異なる特徴がある。ある一人の人物に信用を大きく委ねている点だ。
その人物とはチャールズ・ホスキンソン氏である。

My name is チャールズ・ホスキンソン

My name is チャールズ・ホスキンソン!

ホスキンソン氏とはどのような人物なのだろうか。
講師(30代前半くらいの男性)の話をまとめると「何だかとにかくすごい人」だ。ネット検索すれば分かることなので以下に要約する。

①仮想通貨の時価総額ランキングで十番台に入る「BitShares(ビットシェアズ)」を作った、②次に「イーサリアム」を開発した(イーサリアムは仮想通貨としてみても時価総額ランキング2位)、③クラウドファンディング(ネットを通じて不特定多数の個人から資金を募る資金調達法)によって約18億円を40日間で集めたという実績を持つ。

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講師とホスキンソン氏との出会いは次のようなものだったという。

3年ほど前、ビットコインに関するある会で同世代の佐々木健二と会いました。その佐々木がたまたまジェレミー・ウッドという大阪に住んでいるアメリカ人とあるイベントで出会って話をしたんです。
ジェレミーはイーサリアムのジェネラルアシスタントといって、チャールズ・ホスキンソンの秘書をやっていた人です。

「日本人でビットコイン関係の仕事しているのは珍しいね」と会話が弾んで、佐々木が「チャールズ・ホスキンソンとぜひ仕事をしたい」とラブコールしたら、ジェレミーが「彼とは大親友だ」と。「だったらいまスカイプで出してよ」といったら、本人が出てきて「ハロー」みたいな。「My name is チャールズ・ホスキンソン」みたいな。

そんな感じで始まり、私もすぐ呼ばれまして話を聞きました。

この話に出てくるジェレミー・ウッド氏はホスキンソン氏と2015年に香港でテクノロジー企業(IOHK)を設立している。そのウェブサイトにある略歴には、2008年から大阪在住で、2013年に暗号通貨について知り同年の終わりにイーサリアムに参加したとある。

一方の佐々木氏は、ネット上の情報によると「仮想通貨黎明期から数々の通貨の研究を始めた日本でも有数の暗号通貨専門家」とのこと。「2003年より現在までにコンサルティング会社1社、顧問会社5社を通してフィンテック市場に参入。2013年2月ビットコインに出会いビットコインの研究を開始」したそうだ。

カルダノは身分証からカジノまでと夢すごい

講師が聞いた話とはホスキンソン氏が考えていた、ビットシェアズ、イーサリアムに次ぐ3つ目の構想だったという。

それがADAコインの大本となる「カルダノ」プロジェクトである。

彼はブロックチェーン技術を使って、新興国の人たちにより便利な社会を提供したいと考えていました。
新興国には身分証を持っていない人たちがたくさんいる。そのことで銀行口座を持てない、保険にも入れないという人が多い。世界にはこういう人たちが25億人いると言われています。

でも銀行口座を持たない人でも携帯電話は持っています。インドネシアは銀行口座を持っている人の数は全人口の20%ですが、携帯を持っている人は125%です。携帯はアフリカのマサイ族とかでも持っていますからね。
そこに目を付けて携帯で身分証を発行しようと。身分証も発行できるようなブロックチェーンを考えているんです。

ブロックチェーン技術について少し補足しておこう。難しいことはさておき「書き込むことしかできないノート」をイメージすればいい。

いったん書き込んだ内容は消しゴムとかで消すことができない。ページを破って捨てることもできない。とにかく書き足すことしかできない。加えて、書き込む行為、書き込んだ内容はネット上でみんなにチェックされている。

一度、書き込んだら消せないし改ざんもできないので、おカネとしての機能を持たせられる。このような特性を活かせば身分証も作れるというわけだ。

新興国の人たちの身分証、さすが天才は考えることが違う。そして普及させる方法も独創的だ。

ただどんなにすばらしいものを開発したとしても、アプリをダウンロードしてもらわないと使ってもらえない。

ではどうするか。そこで出てきたのがゲームという発想だったんです。われわれも最初は「なんでゲームなんだ」ととまどいました。でも彼は「ゲームには爆発的な拡散力があるんだ」と。

スマホなどモバイルアプリのゲームはずば抜けて普及のスピードが速いんですよ。昔とは違って単にゲームを楽しむだけでなくコミュニケーションの場となっているからです。LINEで友達と会話しながらゲームしたり、レアなアイテムを持っていると自慢したり。
このゲームが持つ広がるスピードを使おうというのがチャールズ・ホスキンソンの考えた仕掛けだったんです。

巨額の市場が待っている?

巨額の市場が待っている?

ではゲームはどのようなものにするのか。ここで出てくるのがオンラインカジノだ。

現存のオンラインカジノはある特定の業者が管理しているため、カードが正当に配られているのか、ディーラーと一部のプレイヤーがグルではないのか、など不正の疑惑はつきまとう。だがブロックチェーンでみんなが相互監視する仕組みにすれば不正が防げるとする。

カルダノの仕様書をオープンにすることで、ゲーム開発者がカルダノのプラットフォームを自由に使えるようにもするそうだ。さまざまなゲームが商品化されれば、ダウンロードも増え、使われるADAも増えていく算段となる。
コインがいろいろなことに利用され参加ユーザーがたくさん増えれば、ADAの価値も上がっていく。

講師によると、世界のカジノ市場(約22兆円)と日本のギャンブル市場(約24兆円)を含むオンラインゲーム・ギャンブル市場は約50兆円。さらに暗号通貨の市場(時価総額で14兆円)もカルダノのターゲットになると話した。

「カルダノって何?」とチャールズに聞くと、決まって「たくさんなものだよ」との答えが返ってくるという。カルダノも何だかとにかくすごいということは分かった。

タックスヘイブンのマン島に拠点、これすごい?

ここから関連企業の紹介となった。関係者の「顔」が多く出ているのも、それまでに参加した仮想通貨セミナーとは異なる点だ。

スキーム

上に位置するのがカルダノファウンデーションだ

ADAコインはこれだけの大きな構想なので、誰がちゃんと管理しているのか、それが大事だと思うんですよね。

そこで今回作られたのがカルダノ財団、正式名称はカルダノファウンデーションです。イギリスのマン島に設立・登記されています。

左が同じくマン島に登記されているカルダノゲーミンググループ、そして下がADAの公式交換所、またマーケティングをやっているアテインコーポレーション、これは大阪にあります。そして右が開発パートナーであるチャールズの会社です。

財団のチェアマン、トップのマイケル・パーソンという人はイギリスの公認会計士で、世界の4大会計監査法人、KPMGやPwC(プライスウォーターハウスクーパース)の銀行管理の顧問を若いころにやってたんです。
またエミレーツNBDというドバイ最大の銀行を作った創設者です。

銀行がどういう決済ネットワークもってるのか、顧客情報をどうやって管理するのとか、銀行の裏側を全部知ってます。こういう方がカルダノのトップにいます。

これまた何やらすごそうな人物が出てきた。このセミナーの前には一週間ほど来日していたという。
ちなみに講師はカルダノゲーミンググループに所属しているとのことだった。

マン島はイギリスの属国なんですが、国として通貨も発行してますし、マン島政府の法律できちっと管理されています。国を挙げてフィンテックを後押ししていこう、時代時代にあわせて法律を作っていこうとやっています。

カルダノ財団はマン島政府と大変大きなコネクションを持っていますので、マン島に設立したということになります。

金融に関して一定以上の知識を持つ人なら、マン島が「パナマ文書」で話題となっているタックスヘイブンであることは知っているだろう。

海外投資に詳しいなら、かつて「1億円は貯められる。月5万円の積立で」のキャッチフレーズで有名だった「いつかはゆかし」を連想した人もいるのではないか。「いつかはゆかし」が運用対象としている変額年金保険はマン島に本拠を置くハンサード社の商品だった。講師は「マン島、マン島」とやたら推すが、逆に勘繰ってしまう。

マン島よ、お前はそんなにすごいのか!

カルダノ、ADAの概要は以上のとおり。これを踏まえたうえで下の㊦もぜひ読んで頂きたい。

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