映画「海街diary」と四季報の読み方とギリシャ
今井澂・国際エコノミスト

 

是枝裕和監督の新作。今年のカンヌ国際映画祭のコンペティション部門参加と綾瀬はるか主演に惹かれて観たが、甘口でヤマ場のない映画で退屈した。「そして父になる」のようなドラマ性のないストーリーで、四女の広瀬すずが良かった程度。三回も出てくる葬式シーンが印象的だったが、何で興行成績がいいんだろう?

亡くなった四人姉妹の父を長女綾瀬はるかが「やさしくてダメな人だった」と評した。思わずもう何ヵ月も騒ぎになっているギリシャを思い出した。

ギリシャ発株安は、ない

今週22日月曜にはEUの大統領に当たる人物が参加する首脳会議が開かれる。私は「ギリシャ発世界同時株安説」は恐らく発生しないと考えている。ユーロという組織には債務問題でダメな国を脱退させる条項は全くないし、ギリシャ国民は脱退を希望していない。

ギリシャのチプラス首相は債権国から提示された支援条件を拒否してロシアに行くなどと強気。まあ弱者のドウカツだと思う。リスケとかヘアカットということになる可能性60%で、破局シナリオは40%。月末には答えが出る。VIXが上がっていないので私は楽観的だ。

もう一つの注目材料のイエレンFRB議長の記者会見の方だが「年内」という発言と委員のうち5人が12月という見方から、年内1回の金利引き上げ説。景気指標は上昇中で、やはり、やるんでしょうねえ。

企業収益の先行きが明るい日本株

私は肝心の日本株の現在は12連騰という荒業をやったあとの調整だと思う。長期上昇に見方は変えない。一番大事な企業収益の見通しがいい。

15年夏号の「会社四季報」「日経会社情報」が出た。

「四季報」によると、今2016年3月期の3185社予想は2・8%の増収、14%営業増益。今期最高益更新予想は950社(渡部政治さんの調査)四社に1社が最高益を出す。純利益は11・6%増益。

野村週報最近号によると2016年3月期のラッセル野村大型株300社の経常増益率は(除く金)13・7%。(一株当たり利益を出していないのは、四季報も含めて物足りない。)

この企業収益を軸に考えれば、NYダウがどうなろうが、DAXやFSTEがどうなろうが、日経平均は上がる。需給関係を考えれば、なおさらだ。

ブラックロックが日本株大量取得

今週びっくりし、こころ強く思ったのはブラックロックの発行済み株式数の5%超取得。ファナック、日本取引所グループ、Jパワー。VXホールディングス。東京エレクトロン。何で?と思う銘柄もあるが、良く調べてのことだろう。そうそうNECと日本エアーテックは5%から6%以上に。ということはもちろん日本株は長期投資で充分有望、ということだろう。

この有力外人投資家の大量保有は日経ヴェリタスに載っていて毎週楽しみにしている。

ISがバグダッドに迫る危機

楽観的なことばかり書いたが、実は心配事がないではない。ISだ。

6月17日から1か月、ラマダンが始まった。もうイラクの首都バグダッドの60キロの大都市ラマディまで勢力を伸ばしており、首都の近くの聖廟も含めて攻勢をかける可能性大。オバマ大統領の中東での大失敗のひとつだろう。1000人やそこら顧問団を送ってもどうなるものじゃない。欧州、ひょっとするとアメリカでISかタリバンによるテロが起きても私は驚かない。

今週は「マッドマックス 怒りのデス・ロード」を観た。評判通りの近未来SFアクションの大傑作。シャーリーズ・セロンがまことにカッコいい。来週に書くことしよう。

映画のセリフから。

長女幸は口うるさい大叔母から、四女を引き取ることについて「あの子はあんたたちの家庭を壊した人の娘さんだかね」と忠告されるが、あえて無視する。

ラマディがISの手に落ちた後、米陸軍将軍たちがバグダッドの防衛についた会議を開き、その中でイラク戦争を指揮した人が必ずISはやって来る、と主張したとか。イラクの首都の動向も本当は心配だ。

映画「海街diary」と四季報との読み方とギリシャ(779回)

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