映画「ブリッジ・オブ・スパイ」と長期化する米中対立と日本株

 

今週は来春公開のアカデミー賞候補とやらの試写会を2本。リドリー・スコット監督、マット・ディモン主演の「オデッセイ」。火星に唯一取り残された宇宙飛行士のサバイバル。

もう一本はスティヴン・スピルバーグ監督トム・ハンクス主演の米ソ冷戦時代のスパイもの「ブリッジ・オブ・スパイ」。どっちも面白かったが何といっても監督がいい。公開前だがこれにした。

NYでロシア人がスパイとして逮捕される。裁判になり国選弁護人がつく。ドノヴァン(トム・ハンクス)。ドイツの戦犯を裁いたニユールンベルグ裁判での検事だ。

有罪判決後、裁判官に「死刑でなく量刑にした方が国益です。近い将来、米国人がソ連に捕まった時の交渉の切り札になります。」

この予測は当たり、5年後に米スパイ機のパイロットがソ連で撃墜され捕まる。政府から交渉役を委任されたドノヴァンは東ベルリンに。予想もしなかった障害が次から次へと発生。

米中冷戦に突入か

私が「ブリッジー」を選んだ理由の一つは「オデッセイ」のほうは関係のないところに中国がお助け役として(しかも何もしないのに)出て来ること。一方「ブリッジー」の方は、現在、もうすでに米中冷戦に時代が変わったという含意に見えることだ。流石スピルバーグで時代に敏感だ。

米中の対立は一過性のものではなく、弱腰だったオバマ大統領も本気だ。それは親中国派の政治家(キッシンジャー、ロバート・ルービン、エズラ・ボーゲル、ローレンス・サマーズなど)が一斉に「転向」。またデヴィッド・シャンボー(ジョージ・ワシントン大教授)は「チャイナ・スクール」の代表だったが、百八十度転換して中国崩壊説の急先鋒となっている。何回も中国政府主催の会議に招待され訪中していた権威だ。

先日の習近平訪米が、優柔不断だったオバマ大統領の対中強硬策へ転換させる重大なきっかけとなった。ここいらは報道されているのでご存じだろう。共和党候補からの批判も背中を押した。

覇権をめぐる世界史上16回目の闘争

ツキジデスのワナ、つまり覇権国に新興国が挑戦するか、挑戦を失敗させようと覇権国が攻撃するか。挑戦を失敗させようと覇権国が先手をとるか。

覇権をめぐる闘争は1600年以降15回あり、11回が戦争になった。冷戦は戦わなかった4回の中に入るだろう。この経験を生かして米国は中国の野望を、恐らく経済面を含めて内部からの崩壊でツブす気だろう。

クリントン政権は(ヒラリーを含めて)反中だったという証言がある。2016年、ヒラリーが大統領になったら反中政策をやるだろう。ジョー・バイデン副大統領の出馬取りやめで決定的となった。共和党は本命だったジェフ・ブッシュは不振、ドナルド・トランプじゃあな、ねえ。ただこっちの方は恐らくヒラリーに輪をかけた反中。

私は軍産複合体なリメジャー・オイルなり米国を支配しているグループが、反中国を推進する大統領候補に決めたと思っている。そうでなければジョージ・バイデンの出馬中止はなかったと考える。

短期は下落でも、外国人は対日投資を続ける

なんて経済は株式市場にカンケイないことを延々と描いたが、私の言いたいのは「安倍政権は長期化する」ということだ。

マスコミは安倍政権にケチがつきそうなことを探して記事にしている。しかし外国人機関投資家は明らかに、違う。

来週の月曜に7~9月期の恐らくマイナス成長の発表がある。ヘッジファンドは日本郵政公開のオマツリが終わり、タネ玉を仕込んだところで売り仕掛けをするだろう。何百円かの下落するシーンも。それでも一時的な短期大幅下落で止るだろう。長期のファンドは対日投資を続ける。

GPIF損失批判の的外れ

もうひとつ。GPIFなどの株式投資が6月末比で9月末で損失が出たのは問題だ、という意見も。

バカなことを云うんじゃない。アホ。投資というものをワカっていない。一番大切な長期投資の視点がない。また、ピーター・ドラッカーが「見えざる革命」で述べた通り、国民が年金投資を通じて「その国のオーナーになる」ことが、ピープルズ・キャピタリズムの確立になることも、丸っきりワカっていない。

401Kの法改正が早く成立することを私は心から願う。主婦でも公務員でも確定給付型の受給者でも入れる。国民全員が自分の努力で老後の自分年金を作れる。NISAと規模が違う。

2020年、日経平均3万円

私が2020年には株価3万円というと講演の聴衆は意外そうな顔をする。しかし、株式価格は買い手がいるからこそ上がる。企業収益が上昇し、金融は緩和。上昇条件はそろっている。

世界を見回しても、デフレを経験し、老齢化少子化の先進国は日本。他の先進国の方は、これから難局に向かうが、日本は別。長期政権と原油安、オリンピック特需に好環境に恵まれている。

考えてみるといい。野田解散とアベノミクス構想が発表された2012年11月当時、日経平均は8664円、ドルレートは79円50銭。それが2万900円、125円まで行った。これだけ株高円安が続けば、一休みは当たり前だ。

それでも2万円を超えれば塩漬けにしていた手持ち株が浮上するし、郵政株公開で利益を手にした投資家は多い。1万9200円のフシ目を11月9日に市場は実はカンタンに超えた。市場への私の見方は変わらない。強気だ。

見る目は変わる

映画ではドノヴァンは「国の敵を弁護する」と家に石を投げられ、通勤の列車では冷たい目に取り囲まれる。しかし、人質の交換に成功した新聞を手に、人々のドノヴァンを見る目が変わる。いいシーンだ。私の少数派の強気がどんどん味方を増やしていると感じる。

 

今回は800回。少々長めに書いた。

このコラムの前身の某経済週刊誌では「今井澂のマネー・ドット・カムカム」を500回達成した。500回の祝いをするというので妻を連れて行った。向こう側は私に関係する編集者を全部(7,8人だったと思う)集めた。何とその席で編集長が「連載をやめてください、時代の流れです」。何という無礼な、コノヤローと思ったが、まあここでケンカするのも大人気ない。「いいですよ。」と返す。

そこで現在のこのコラムは「まだまだ続くお愉しみ」と名付けた次第。

現在のアクセスはいろんなルートを通じてその経済週刊誌の発行部数より多い。倍以上はあるんじゃないかな。私としてはザマミロ、と思っている。

映画「ブリッジ・オブ・スパイ」と長期化する米中対立と日本株(第800回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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