映画「ライムライト」と底値をつけつつある株式市場

 

ご存じチャップリンの名作。63歳のときの監督、主演だ。人情噺と自分のコメディのシーンで、それを美しい音楽でつなぐ。泣かせる話で実にうまい映画だ。

落ち目の老コメディアンはガス自殺しかけた若いバレリーナを救う。クレア・ブルームがこの一作でスターに。チャップリンは励まそうとして、数々の人生訓を言う。

「宇宙の何よりも貴い『生きる』という奇跡を消してはいけない。星に何が出来る。ただ空を巡っているだけだ」。

「すべての物に欲望がある。欲望があるからバラはバラらしく咲き、岩は岩でありたいと頑張っている」

いまの東京株式市場ではいろいろな要因、多くの市場参加者が激しい上下動を引き起こしている。

乱高下の理由

たとえば先物。現物株の売買量は多くない。しかし上海株式市場の売買量が少ないため同様に動く東京がヘッジファンドに狙われ、先物の売買量は記録的だ。ボラティリティが高まれば、自動的に市場平均の先物売りが出るシステムになっているから、三ケタの下げになる。上げのときも同じ。

NY市場の方は、大統領選挙のジンクスが下げの要因。2回当選し次の大統領が新人になると分かっている年の2,3月は有力候補が「見えて」来るまで、買いは手控える。

投資家の運用担当者は12月末の数字が良ければいい。3月末はメじゃない。

買わない材料は山ほどある。FRBの利上げ、中東、原油価格、中国人民元の行方、などなど。だからNYダウは、目先期待しない方がいい。

1万6000円台で底値

では、東京は、日経平均は。

大切なのは、株価にはいろんな水準をはかる指標があること。例えば現在の日経225種の一株当たり利益を株価収益率でみる。14倍以下になる。このようなことは、たまにはあるがごく短期で、17~8倍になると少々割高。これは経験則だが実によく当たる。

いま1250円近辺が一株当たり利益。これで下値をはかると1万7000円近辺。だから私は1万6000円台になってもびっくりするな。せいぜい1万6000円台の真ん中だろうと申し上げている。

ごく目先の下値の判断は騰落レシオの25日移動平均だ。60%台の下の方が底値でつくのだが、現在58%近辺。底がつきつつある―と私は考える。

何を狙うか。

3月頃に市場平均にさきがけて天井をつけ、その後下がっている優良株がいい。トヨタ。へそ曲がりで安い株がいい、という向きには日本郵船、いい話は何もないが安い。

最近注目しているのは嘉悦大学の高橋洋一教授の現代ビジネス「ニュースの深層」で――

2016年、日本の景気が悪くなる要素が見当たらないー「国債不足」に「追加緩和」そして「埋蔵金バズーカ」まで飛び出す!?

何とものすごい題だが、精細な分析で一読をおすすめする。

円安で外為特会の埋蔵金が膨らむ

埋蔵金とは特別会計の利益の放出。「外国為替資金特別会計」がその一例で20兆円もの評価益があるし、「労働保険特別会計」も7兆円。ともにアベノミクスによる円安効果と失業保険給付減による収益で、軽減税率のための財源に一時的放出が検討されている。3兆5000億円のショボくれ補正予算だけでなく、高橋洋一さんが言うには

「5月末のサミット後に国会を延長して、参院選前に埋蔵金を活用した大型景気対策をブチ上げるような気がする」

「ダブル選挙も十分にあり得る」

よーく考えてみれば、原油安は日本にとっていい話だし、円高も116円がついたところでヘッジファンドは円売りをやめている。上海の方がおさまると、もう東京株式市場が激しい上下動に見舞われることはあるまい。

ライムライトとチャップリン

映画のセリフから。

有名なのは「人生で大切なものは勇気と想像力、それに少々のお金だ」

「死と同じように避けられないものがある。それは生きることだ。」

私は1969年にジュネーブの空港でチャップリンを見かけたことがある。品のいいお爺さんだなあと思って見直したらご本人だった。誰か知人を見送りに来たらしく、4,5人周りにいた。群衆は周りを少し離れて取り巻き、敬意をもって静かに見守っていた。あのときはまだ英語が私は上手ではなかった。そばに行って、声をかける勇気がなかった。残念でならない。

この記憶をバネにして私はその後、一生懸命、英語の訓練をした。浦和から東京駅の間、電車の間のつなぎ目は両方のドアを閉めると個室なので、そこにA4の紙に当時の山一証券の通訳のプロにコロキアルにしてもらった3分ぐらいのテーマごとのスピーチを暗記した。Sとth、rとl、まだうまく発音の差は出せないが、内容のある話なら、必ず相手は聞いてくれる。つまらない自慢しましたね。81歳にもう何ヵ月でなるジイサンの話しです。

そういえば「ライムライト」の物語が始まる前の字幕でー―。

「華やかなライムライトの中に若者が登場したら、老人は退き下がらねばならない」。はい、よーく分かっていますヨ。チャーリー、でも、ねえ、まだまだ。まだまだ。

映画「ライムライト」と底値をつけつつある株式市場(第809回)

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