【初・中級者向き】映画「SCOOP!」とヘッジファンド解約ショック

2016・10・30

福山雅治はやはりガリレオ・シリーズや坂本竜馬がニンに合っていると思うが、今回は無精ヒゲにボサボサ頭の中年男。それでもカッコいいのはやはり大スターなんだろうな。相手役の二階堂ふみも好きな女優だし。

scoopscoop

芸能スキャンダル専門のカメラマン静(福山)は写真週刊誌の副編の定子(吉田羊)から、新人記者野火(二階堂)とコンビで仕事を任される。当初はかみ合わずケンカばかりしていた二人組は、特ダネを連発。発行部数はうなぎのぼり。取材のやり方の奇想天外な面白さ、二人の軽快な会話のおかしいこと。私は珍しく2回観た。

ヘッジファンド=パパラッチ?

私は(ヘンに聞こえるかもしれないが)、パパラッチとヘッジファンドが似ていると思っている。共通点、かな?

世の中から異端視されることが多いし、人間の本性つまり好奇心とか金もうけの期待に立ち、ショウバイにするには特殊技能が必要だ。

 

私はヘッジファンドの本を世界ではじめて書き、その技法を大蔵省(当時)の検査官に年4回教育した。いまでもかなりNYやロンドンの知り合いの運用担当者から取材している。11月下旬に渡米して話を聞いてくるつもりだ。

ヘッジファンドは栄枯盛衰の激しい世界だ。ここ1,2年は地獄ではないか。

ヘッジファンドの地獄

昨年は45%のヘッジファンドがマイナス運用だった。今年は9月まで4・4%でS&P500の7・84%より劣る。9月までで半数のマクロ型ファンドは損失を出している。そこで大口機関投資家の解約が相次いでいる。米国最大のカリフォルニア州職員退職年金(カルパース)の40億ドルの解約にならう年金が多いらしい。

パナマ文書の暴露以来、世界の富裕層は税務当局の厳しい追及に悲鳴を挙げており、タックスヘイブン経由の投資はどんどん止めている。またひところ高パフォーマンスで人気を集めていたBRICS向けファンドも元本は減少。

業界筋では2%の運用手数料と20%の成功報酬がヘッジファンドの通り相場だが、これが投資家の不信につながっている、と。だからこそ毎月250億ドルの解約があり、これはリーマン・ショック時の水準だ。

私がこのところの市況上昇にもかかわらず、慎重な姿勢を維持しているのは、次の理由による。

それでもブルの3つの理由

第一に、例年の日本株の保有減少期。12月決算が多いので11月のサンクスギビング(第四木曜、今年は24日)までにポジションを終わらせる。円の買いポジションも減らしつつあり、日本側では意外高をはやすが、上値には売りが出てくる。

第二は、私が指摘してから有名になった「45日ルール」だ。ヘッジファンドの解約を三カ月に一回とか半年に一回と制限しているのが一般的だが、ファンドの出資者は45日前に運用会社に通知し、マネジャーはボヤきながら手持ち株を手仕舞う。12月決算なら11月15日が最終日で、TOPIXは例年その前に(幅はその年によるが)下がることがほとんどだ。

第三に、ヘッジファンド全体に関係筋の目が厳しくなり、資産(三兆円)の縮小が不可避なこと。税務当局、銀行の融資ワクの減少、それにEUの成功報酬の行き過ぎ規制検討、などなど。決め打ちは去る9月の中国杭州サミットでの「資産運用業の活動に伴う構造的脆弱性への対応」つまり規制の検討開始である。その後大手資産運用会社ブラックロック、フィデリティが懸命に運動、「運用会社」でひとくくりにせず、身代わりにヘッジファンド独特の仕組みが身代わりになるとみている。2009年4月のロンドン・サミットのしめくくりだ。

以上から、私は日経平均のジリ高は好感し、腕に覚えのある方は日経ブルでひと回転をどうぞ、と申し上げる。しかし「大魔王」候補としてのヘッジファンドへの認識があまりにも欠けているので。

トランプ・ショックの大魔王

映画のセリフから。

「なぜカメラマンになったの?」

「中学の時、ロバート・キャパの兵士の死を撮った有名な写真を見て、自分も何か世の中に残したいと思ったのさ。現実にはオレは何もしていないが。」

ヘッジファンドはたしかにひとつの時代をつくった。しかし運用の世界にはAIがいつの日か次の世代をつくるだろう。いけない、いけない。このテーマは次の本にとっておくつもりだったのに。

最後にオマケ。ヒラリーにFBIがEメールゲートを蒸し返した。すぐに為替市場では円安の流れにストップがかかった。展開次第ではトランプ・ショックの可能性も出ている。ここはやはり慎重に。

 

映画「SCOOP!」とヘッジファンド解約ショック(第850回) 

 

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

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