【初・中級者向き】映画「告白小説、その結末」とトランプ貿易戦争でもうかる銘柄16

 

2017・7・8

ことし85歳のロマン・ポランマキー監督の新作でカンヌ映画祭でワールドプレミア上映された。評判がいいので時間をやりくりして観たが、確かに見ごたえ十分の心理サスペンスで私の評価は高い。直前に「ハン・ソロ」なんて凡作を見ちゃった反動もあるが。

 

女流作家のデルフィーヌは,自殺した母親との生活を画いた私小説で人気作家に。サイン会場で美しい女性ファンが現れ、エル(彼女の意)と名乗る。

スランプに陥っていたデルフィーヌにエルは的確な助言を与え、世話を焼き、ついに同居する。しかしエルは不可能な行動を始める。ケンカ。エルは家を出る。

その後、階段から転落して足を折り、自分で何もできなくなったデルフィーヌは帰ってきたエルに自分の別荘に連れてゆかれ、静かに執筆ができるはずだったがー。

ファンと人気作家の組み合わせが、エルが、私生活に入り込んで作家を支配しようとするため、次第に対立し始める。

米国の敵となった中国

オバマ時代に米国から技術と市場をぬすんで世界を支配しかけていた中国が、米トランプ政権になって、明確に「敵」として意識されるようになった。「知的所有権への侵害」ということばは正確と思う。もちろん「北」への圧力も絡んでいるが。

7月6日、340億ドルの商品への米中の高関税の掛け合いになった。今後どんどんこの貿易関税引き上げ戦争の金額は膨らんでゆく。トランプ大統領は5000億ドルまでもありうると示唆している。

1980年代、米国赤字の55%を我が国が占めていたが、現在16%まで下げた。これには、円取引の自由化、円高、現地生産などで20年以上かかって修正した。46%の中国はまだ人民元の上昇幅も小幅だし、人民元の自由化は全くなし、中国企業の米国での工場建設も見るべきものはない。

それどころか、中国は欧州やアフリカの国々に、資金をエサにインフラ投資を行い、返済できなければ自国のものとするような行為を繰り返している。また大量の学生を米国の大学に留学させ、帰国させて「今度は世界一のIT大国」という目標を誇示している。これじゃあ、弱腰のオバマへの反対が政治目的のトランプ政権が、反中を看板にするのは、無理もない。

ヘッジファンドは早速、いずれは人民元高になるだろうが、とりあえず人民元下落(もちろん上海株のさらなる下落)を狙って、日経平均225種の両建て作戦をとっている。

人民元安で下がる8銘柄

第一が人民元安に対して「順」相間、つまり元が安くなると同時に下がる銘柄だ。

①静岡銀行②JFE③大阪太平洋セメント④ヤマハ⑤本田技研⑥スバル⑦テルモ⑧日本通運。

たしかにここ1カ月の下落幅の3・8%の倍以上、株価は下落している。JFE、静岡は12%強の下げ。

人民元安で上がる8銘柄

第二は人民元下落に対し「逆」相関、つまり人民元安になると逆に上昇している銘柄だ。

①太陽誘電②JXT③カシオ④武田⑤アルプス電気⑥東洋製缶⑦スカパー⑧富士通。

たしかにふたケタ上昇もあるし、みな4%以上の株価上昇だ。

この米中の闘争は結局は米国の勝利に決まっている。またグロ-バルな規模に広がらないだろう。

日本・欧州への制裁は軟化する

私のワシントンの情報筋は「航空機など米国の主力品目への日欧の報復が始まる前に、同盟国への制裁を軟化させる」。つまり今回の関税戦争が「対中」であることを世界に示すのがトランプ大統領の真意だ、と述べた。

株式市場全体への私の見方は、中国が今後、世界への関与が減り、北朝鮮は恐らく中国から縁を切られ、かつてのソ連崩壊のような「北東アジア冷戦」の終了が「見えて」来た、と考える。

拉致問題も12月には解決。安倍首相は恐らく三選が9月に成立しているが、あえて支持率上昇を確定する目的もあり、解散。総選挙に踏み切って、地方選、参院選に有利な地歩を築くに違いない。

総選挙での勝利は株式市場に大きな好材料だ。私の強気は変わらない。

 

映画のセリフから。女性作家のボーイフレンドが異常に気付いていう。

「いまの君は心に鍵をかけている。早く心を開いてほしい」。

いまの投資家は不安で心にカギをかけているが、早く目を見開いて前途に自信を持ってほしい。日本は大丈夫です。

映画「告白小説、その結末」とトランプ貿易戦争でもうかる銘柄16(第916回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

ジャイコミ有料記事テキスト画像

 

関連記事

今井澈のシネマノミクス

小説「四十七人の刺客」と脱炭素のもたらすインフレ、ドル高(円安)、そして株高(第1095回)

池宮彰一郎氏の原作を読むのをおすすめする。高倉健主演の映画もいいが、小説に比べるとオチる。この傑作

記事を読む

株主総会探訪記~2015~
「デレ」を見せ始めた
ツンデレ企業のファナック

ジャイコミ編集部 2015年の株主総会集中日となった6月26日の午前9時すぎ。ジャイコミ編集部の一

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「ブラックパンサー」と森友と安倍政権

2018・3・26 米マーベル・スタジオの新作で2月に米国で公開されて爆発的なヒット、興行収入

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「億男」と当面の相場展開と狙い目銘柄(第930回)

2018・10・21    妻が主演の佐藤健が好きだというし、先日の綾瀬はるかの」「ギボムス」で

記事を読む

no image

大井リポート
10月末にかけて粗い相場展開に
ポイントは米国金利、中国、ドイツ経済

セイル社代表 大井 幸子 世界経済・国際金融市場の動向を見る上で、気になるポイントが三つある。

記事を読む

PAGE TOP ↑