【初・中級者向き】映画「僕たちは希望という名の列車に乗った」と私のトンデモ・シナリオ
(第965回)2019・6・3
舞台は1956年の東ドイツの産業都市で、主人公はそこの高校生たち。こんな長い題にしないで英語版の「静かなる革命」の方がずっといいと思うが。
男子生徒2名が列車で西ベルリンへ、祖父の墓参りを口実に出かける。当時はまだベルリンの壁はできておらず、比較的自由に往来できた。
映画館でハンガリー動乱を伝える映像を見て、市民数千人が殺され、著名サッカー選手も含んでいたと知らされる。
二人は教室で死者に黙祷しようと呼びかけて多数決で決定。皆で黙祷する。
これが先生のチクリで当局にバレて、反革命に賛同したのは反政国家的行動として全員が取り調べられる。特に首謀者がだれか、を中心に。高校生たちは進学クラスで卒業試験を控えているので、首謀者の名を白状しなければ卒業資格は与えないゾと脅迫される。
この脅しに対し、クラス全員が口々に「私が首謀者です」と逆襲するのが映画のヤマ場になっている。
私はこれを見て、私なりの「逆襲シナリオ」を考えた。
世界の株式市場は、米中の関税戦争の激化と、対メキシコ関税の引き上げを悲観して、一斉急落している。
リスクオフの証拠にグローバルな長期金利の急低下を示すのが一番手っ取り早い。
米国では10年物国債の金利は週末に2・131%と、フェデラルファンドの誘導目標の2・25~2・50%を下回った。三か月物との利回りも逆転している。ドイツでも過去最低水準を下回るマイナス0・194%に達した。
特に日本は株式市場の具合が悪い。昨年2月の安値と、ことし4月の高値の半値押しに当たる日経平均2万655円を下回る2万601円で週末は引けた。
投資家が2万円割れに備える向きが急増している証拠は、6月物で1万9500円のプットの売買高の急増だ。
前記した米国の長期金利とフェデラルファンドとの逆ザヤは、経験的に言うと少なくとも数か月の時差はあるものの、結局FRBの金融緩和につながった。その連想として、ドル安=円高=輸出企業の収益低下=日本株安となる。
これに加えて前記の米中対立での世界的冷戦不況だ。
6月28,29日の大阪G20でトランプ=習近平会談で米中対立が「手打ち」
になればいいが、対立から対抗へ移行している現状ではムリだろう。
次期大統領選への思惑特に米国産業界やウォールストリートへの配慮から、とりあえず休戦または停戦という希望的観測もないではない。そうなれば再び世界株高は復活し、万々歳だが―。
ひとまずこの面を措いても、わが国にはもう一つ。消費増税の問題がある。世界的不況になりかけているのに、増税はやはり無茶だろう。ただ教育や何やらで増税とのからみもあるので、政治的にはご存知の通りハードルが高い。また企業側もすでに準備態勢が進んでいるので、延期でも凍結でも、補償金が必要となる。
しかし、日本人の性格からみて、選挙でみそぎを終えれば、政策を実現できなくても問題にされることは、ないとは言えないが可能性は少ない。最近の要人発言などからみると、可能性は高くなっているように見える。「大義」はいくらでもつくることができる。恐らく幹事長あたりが悪知恵を出すだろう。
私のトンデモ予想はこうだ。
「手打ち」があれば、前記のように万々歳だが、「なし」で世界的急落と円高で日経平均2万円を覚悟する。
次に下値を予想する。一株当たり純資産の2万円それに日銀のETF買いのコストの1万8500円(推定)を考慮すると、昨年12月の安値をいくらか切るのが最大限の下げだろう。下げになるとやれ1万7000円だの1万6000円だのと言ってオドかす向きガ必ず出るが、そこまではいかないものだ。その底値目標よりずっと上で止まる、と見た方がいい。
上値の目標は、とりあえず昨年の高値が目標、というとバカにされるだろうが、私はもっと上値を実は考えている。
正直を言うと昨年並みのドカンを来年早々かそれ以前に私は予想している。オリンピックの後はどこの国も不況に入るし、万一消費税をやってしまったのなら、なおさら。
加えて馬鹿なことに所得税の控除額をいじったり、9月からスタート予定のポイント制が1年経過で廃止になる。円高を考えると、来年は危ない。なぜ円高?今の米国を考えたら、何か起きて、第二のプラザ合意が必要になりそうでショ?
そこで私の作戦だ。とりあえず、私は2万円以下ですでに日経のブル型投信をある単位で何回か、買った。
また2万円以下になったら、今度は2単位で買い下がる。そしてある目標値で利食って、次は日経ベア型投信を狙う。タイミングが難しいが、うまくやる自信はある。皆様へのアドバイスは私のボイスメッセージの「今井澂の相場ウラ読み」で随時、差し上げるので、ご利用をおすすめする。
映画のセリから。高校生の父が言う。「春先にミミズを見たら、秋の嵐を予想するもんだ。」私の来年への警戒観は、気が早すぎることはない。
ついでにもう一つ。「野も山も皆、弱気なら阿呆になって株を買うべし」江戸時代のコメ相場の格言だ。そう、私はアホなのです。
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