【初・中級者向き】映画「さらば愛しきアウトロー」と過剰流動性相場の出発
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(第972回)
2019・7・22
ロバート・レッドフォードの引退声明で大いに注目されている近作。実在したフォレスト・タッカーという人物の晩年を描いた。舞台は1980年代のテキサス。
この人は刑務所脱獄を18回成功し、12回失敗して、その間に銀行強盗を繰り返してきたアウトローである。強盗を働くときの物腰は柔らかで紳士的。上着の内側にあるピストルはちらりと見せるだけで、決して使うことはない。
映画の中の初めの強盗現場から逃げる時には、車が動かず困っている女性をわざわざ助けて警察の目を逃れる。この女性がタッカーの最後の恋人になる。
この犯人を追い詰めてゆく刑事ジョンも、何人もの証人に聞くたびに、タッカーの人を傷つけず楽に生きる哲学に惹かれてゆく。奇妙な親近感。
この映画の面白いところは、高齢の犯罪者の伝記ものに止まらず、主演のロバート・レッドフォードのキャリアと重なっている。二重のフィクションでもある。
映画通にたまらないシーンも結構多い。ラスト近く、タッカーが恋人と見る映画はサム・ペキンパー監督の「ガルシアの首」だし、脱獄の思い出シーンには「逃亡地帯」の若き日のレッドフォードが出てくる。
この大スターは1936年生まれで私より1歳下。映画の初めのクローズアップでは顔の深い皺が、これでもかという位出てきてガッカリさせられたが、そこは芸の力というか、次第に若々しさが出てきて魅力的だった。
ここから先週の続きを。
先週のブログに私はこう書いた。
私の情報では、安倍首相は11月か12月に解散、総選挙を行う。10月からの消費税増税による各種景気指標の悪化が続出する前のタイミング。それでも景気悪化の予兆はすでにいくつも報道されているだろうから、景気対策で何か新しい作戦を公表しなければならないだろう。意外や意外で「北」の金正恩委員長と拉致問題について首脳会談である可能性もないではないが。
ウラ付けになりそうな材料を。
内閣官房の浜田宏一参与(米エール大学名誉教授)は時事通信社のインタビューで次のように述べた。(見出しは「成長推進へ財政拡大を」)
- 米中摩擦が最大のリスクだが、米中貿易戦争で日本や欧州は漁夫の利を得るので、有利な面もある。
- 緩和強化の具体化策は金利がゼロ近辺による現在、インフレの心配はしない方がいい。その代わり、拡大政策は難しさを伴う。適切な策は「量」を増やすことだ。買い入れ資産の拡大がいい、しかし今は財政が役割を果たすべきだ。
- 財政状況が世界一悪いという概念は財務省が作り上げたもの。IMFも「日本の純債務は相対的に少ない」というレポートを出している。
この浜田参与が示唆している①金融のさらなる緩和②財政出動③日銀の買い入れ資産の増加は、去る3月に首相から方策を聞かれて雨宮副総裁が国会で答弁した内容だ。実現性は大きいと私は考える。
たまたま現在の状況を見ると、第一に欧州のECBに始まって、米国のFRB、イングランド銀行、豪州中銀も一段の金融緩和に乗り出した。これで世界中にさらなる過剰流動性が供給されて行く。
第二に債券バブルの存在だ。現在のマイナス金利での債券は、合わせて13兆ドル(1400兆円)。ソニー・フィナンシャルの大槻さんによると、次の三つが背景だ。
- カネ余り②デフォルト率の低下③金融当局の要件緩和。これに加えて私の観るところ見通し難のため、どんどん保守的になって債券に逃げ込んだ資産運用担当者が増加した事実も挙げておこう。
その証拠がギリシャとイタリアの10年もの国債。すでに米国の国債と同じ水準まで低下。すべての国債価格は平均して年初からすでに10%も上昇した。
「炭鉱のカナリア」であるギリシャとイタリアの10年物国債の金利が、1%を割れたらもう限界だろう。債券から株へのシフトが遅かれ早かれやってくる。
その転換期に「ドカン」がまあ100%来るだろうが、その先には、空前の株高が始まる。これが私のシナリオだ。
この映画の主題曲が実にいい。ジャクソン・C・フランクの「ブルース・ラン・ザ・ゲーム」。
「ボートでイギリスに行こうか?
スペインでもいいや
とにかく別のどこかに行ってみよう。
人生はギャンブルなんだ
いつか俺も落ち着くだろう
年老いたことに気づいたと
もう足掻くことはやめるけどそれまでは旅を続けるさ」
私も当分、この旅を続けます。どうぞよろしく。
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