第3回:LINE投資詐欺の最新トレンド ― その“優しさ”が命取り

■ はじめに
「一緒に資産を増やしませんか?」
「無料でアドバイスします!」
こうした言葉から始まるLINE経由の投資詐欺が、今非常に増えています。最近の傾向として、強引な勧誘ではなく、「親切で優しい言葉」でじっくりと信頼関係を築く手口が主流になってきました。
“優しさ”に見える言葉の裏に、巧妙な詐欺の罠が潜んでいるのです。
■ 実際にあったLINE詐欺の例
▷ ケース1:SNSからLINEに誘導 → 仮想通貨詐欺
Instagramで知り合った「投資家」を名乗る人物から、「信頼できる情報筋がある」と言われLINEへ誘導。
無料グループで“毎日利益が出ている”実績画像が共有され、信じて数十万円を入金。数日後、相手もグループも消えていた。
▷ ケース2:恋愛感情を装って詐欺へ
マッチングアプリで知り合った相手と毎日LINEで連絡を取り、「あなたの将来が心配だから」と投資をすすめられる。
優しさにほだされ、言われるまま海外FXや暗号資産口座を開設し、送金。その後連絡が取れなくなった。
■ 最新トレンド:ポイントは「信頼の構築」
近年のLINE投資詐欺は、かつてのような乱暴な勧誘ではありません。
ポイントは以下の3点です:
- 丁寧で親身な態度:「一緒に頑張りましょう」「焦らなくていいですよ」
- グループで安心感を演出:他の“参加者”が成功している様子を見せる(※実は全員サクラ)
- 実在の投資家を騙る:著名トレーダーの名前をかたるニセアカウントが多発
■ こういうLINEメッセージには注意!
- 初対面の相手が「資産運用」に話題をすり替えてくる
- 投資アドバイスが「無料」で提供される(→無登録業者の違法行為)
- 「絶対儲かる」「元本保証」「リスクゼロ」といった断定表現
- 金融庁登録のないサイトやアプリに誘導される
- 外部のウォレットアプリや海外業者への送金を求められる
■ 被害に遭わないためのチェックポイント
- 相手が勧める投資先が金融庁登録業者かを必ず確認
- 少しでも怪しいと思ったらLINEをブロック・通報
- 「親切さ」や「恋愛感情」も含め、冷静に一歩引いて考える習慣を
- グループ内の会話は全部偽物の可能性を疑ってかかる
- 家族や信頼できる知人に第三者の目線で相談する
■ まとめ
LINEを使った投資詐欺は、人の感情につけ込むのが最大の武器です。
「いい人そう」「親切だったから」「恋人だから」…その感情が、被害の入り口になってしまいます。
投資において最も大切なのは、冷静さと確認。相手がどれだけ優しくても、LINE上の“甘い誘い”には要注意です。
次回
「“金融庁監督下”はウソ? 登録業者を装う詐欺サイトの見分け方」
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