木村喜由のマーケットインサイト
2014年5月号
変化の起きやすい5月、動きに追随
公開日:
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最終更新日:2014/09/19
マーケットEye マーケットインサイト, 木村喜由
日本個人投資家協会 理事 木村 喜由
膠着相場の転換点が迫りつつある
2月4日を起点とする日本株の中期サイクル(通常3~5か月)はそろそろ終点に近づいている。安値は5月後半から6月前半に迎える公算が強い。
すでに起点を下回ったので弱気サイクルであるのは明らかだが、4月安値を少し下回るか、為替や外国株の急落を伴って深押しするかはまだ見極めがつかない。
5月9日時点で日経225採用銘柄の時価総額は261兆2159億円。直近四半期決算を発表済みは150社で時価総額185兆9457億円、比率は71.2%である。
この部分の純利益は13兆8661億円・前年比85.2%増であり、概ね会社側予想に基づく今期予想は13兆8825億円でほぼ横ばいである。したがって株価収益率(PER)は実績も予想も13.4倍である。
発表済み会社の過去1年間の実績配当利回りは2.02%、1年前の株主資本を基準にして直近期末の株主資本と配当金合計で計算した包括利益ベースROEは16.29%と非常に高い。このうち期間利益に基づく部分が9.48%、資産評価等や年金経理等の変更による部分が6.81%である。
なお、この間の増資と自社株買いなどによる株主資本の変動はほぼ均衡していたので、無視している。
これから発表される分には銀行など低PERで時価総額の大きなものが多い。225社全体で推定すると、今期予想PERは12.9倍に下がるだろう。
今期増益率がゼロという前提だが、もしこれが実現できるなら十分に割安といえる。したがってよほど大きなネガティブサプライズが起きないのであれば、今後自社株買いの増加も期待できるので下落余地は乏しく、今の水準は押し目買い方針でよいことになる。
しかしこれは時価総額ベースの話。高PER値がさ株の比重が高い日経225インデックスの予想PERは15.8倍であり、割安感は乏しいため下落余地は残る。
一方で、海外要因には不気味なものが多い。
ウクライナ問題は相当に消化され波乱要因とは思っていないが、米国株価、欧州および中国の景気は一触即発で暗転しかねない要素がある。これらが悪い方向に向かった場合、日本株は昨年6月安値付近(今の水準より10%ほど下)までは下がる可能性があるため、急いで買い出動するのは望ましくない。
米国はSell in Mayか
米国株は史上最高値を更新しているが、2000、07年の天井に匹敵する「上げ相場」のクライマックスにあると考えられ、いずれ大幅な調整局面に転じると予想している。
不気味なのは09年安値から3.5倍に上昇したNASDAQが、天井パターン形成となる公算が日増しに強くなっていることである。直近安値3946をはっきり割り込むと3650、3300などの節目に向かって崩れる危険性があり、その際はNYダウも高値から3000ドル以上の調整に見舞われることになる。
NASDAQの大幅上昇の背景は超金融緩和による資金流入とケータイ関連とバイオ関連株の急成長がかみ合ったからである。そのシンボル銘柄であるグーグルが過去1年の安値を更新、フェイスブックやヤフーなどネット広告に収入源を依存する銘柄が急落していることは、相場シナリオの大きな変化を暗示している。
「ああ皐月、仏蘭西の野は火の色す、君も雛罌粟(こくりこ)、我も雛罌粟」と与謝野晶子は5月を詠んだ。米国では「5月に株を売って9月まで帰ってくるな」、いわゆるSell in Mayの相場格言が有名である。
筆者はその一方で、欧州から波乱が起こるとすればフランスが一番怖いと思っている。ユーロ高デメリット、デフレ圧力を欧州主要国で最も強く受けている。
最近は、世界的に債券バブルの様相が強まっている。米国のテーパリング(量的緩和縮小)を警戒して債券ポジションを下げていた投資家が、世界的なデフレの再燃を懸念し始め、株式から債券に資金を移し始めているように見える。
10年国債利回りは米2.62%、日本は物価が明確にプラスに転じたのに0.60%、ドイツ1.45%。しかしオランダ1.76%、フランス1.90%はまだよしとして、スペイン2.89%、イタリア2.93%、ギリシャ6.07%は買われ過ぎの疑いが強い。
CRB商品先物指数はなお高値圏だが、銅をはじめ鉱物資源は最近の安値を更新、景気の先行き不安、特に中国の今後を警戒しているように見える。
米国景気については、ISM指数の堅調によりここしばらくの景気拡大が示唆されているものの、中国の貿易量の鈍化や人民元の下落など、徐々に警戒ムードが高まっている。
ドル・円相場は米国長期金利に連動した動きが続いており、過去4か月間ほぼ102円前後で上下3円程度の値幅に収まっている。長期的には円安方向を予想するが、日柄的には一時円高に向かっても不思議はないタイミングなので、綿密な注目を怠れないだろう。
いずれの市場も、ある程度大きな動きに発展する恐れがあるため、新たな動きには追随する方針を心がけたい。
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