世界的暴落、まずは第一ラウンドの下値の見当は付いた

不透明感強まり、米国利上げは先送り濃厚

物凄い下げである。225は11日高値20947円から25日安値17747円まで15.3%の下落だが、先物は20,960円から昨晩25日未明に17,155円まであった。実に3,800円幅の下落で、値幅的にはブラックマンデー並みの下げということができる。衆目の一致するところ、下落の震源地が中国であることは明らか。

マクロ統計で景気失速が明らかだったのに、株価を刺激して景気を刺激しようとした政府の愚行が被害を拡大させた。PKOで無理に株価を支えたものの、泣きっ面に蜂とはよく言ったもので、不都合な時に限って悪いことが重なる。天津の大爆発が起こり、産業界に打撃が広がるとともに安全とか規制を尊重しない中国経済の弱点が露呈し、もはや事態を腕力で覆い隠すことができなくなった。北部最大の貿易港が機能停止したため、貿易依存度の高い中国経済の悪化は誰も疑うことがなくなり、商品が一斉に下げ、それが景気悪化のシグナルということで、世界的に株が売られることになった。

中国のダメージ少ないのに外国人は日本株叩き売り

資源国はもちろん、先進国最大の景気敏感インデックスとされる日経225は、ヘッジファンドがアベノミクスの尻馬に乗って円売り株先買いのポジションを拡大させていたこともあって大きく売られた。中国の失速は世界成長率を引き下げる。米国企業の好調は、途上国向けに先駆した消費関連と設備、IT関連が、ドル安時代に途上国に流入した資金を追い風としたものだが、ドル高で資金が途絶え途上国全般が失速するとともにブレーキが掛かった。中国向け輸出の多いドイツ株が下げたのも当然だ。

日本の場合は中国からの輸入の方がずっと多く、仮にゼロ成長になっても直接のダメージはそれほどないのだが、外国にいる連中はそんなことは知らないから叩き売りに来る。先週末の急落を受けた週明けの日経225は夜間取引で続落したため19,100円付近で始まったが中国市場のオープンに向け18,515円まで急落、18,850円まで急反発したがそこから700円以上急落、18,320円を戻り高値に17,155円までほぼ一気に下げ続けた。

ドル安で自動売買プログラムが発動

NYダウの1000ドル安もあったが、不透明要因の増大を理由に慎重派のイエレン議長は利上げも当分見送るとの見方が優勢となり、ドル売りが一気に進んだことが引き金となって日経225が売られた。ドル円は大きな波動がほぼ10円が区切りとなることが多く、116円台前半まで一気に下げ、これで9.5円の下落。ドルが下がると自動的に先物を売るプログラムが用意され、超高速取引を行うヘッジファンドが介在して、実態とは関係なく朝方から2000円幅の物凄い下げとなった。

落ち着くかと思われた本日25日も、800円安の後1200円近く急反発し、やれやれと思ったところに先物オプション系の猛烈な売り仕掛けが入り、朝の安値付近で終了することになった。売買代金はほぼ5兆円、ここ3日間で外国人は2兆円以上売ったはずだ。

ほぼ下値支持水準に到達も、海外景気が冴えずレンジ相場の公算大

日経225の予想PERは本日25日に14倍強まで下がり、割安感が強まったという連中も多いだろうが、それは時価総額ベースの話。インデックスとしては17.5倍くらいで、世界の主要インデックスの中では高い部類。円高と輸出の鈍化を見込むと積極的には買えない。

それでもTOPIX安値1411はドル円の115円、中国の失速を十分織り込んだ水準と思える。安値を拾い気長に企業収益の蓄積による株価上昇を待つ、という方針の投資家には絶好の広い場であろう。ただし特別の支援材料がない限り、株で一発儲けてやろうという投資家が出にくい局面なので、当分レンジ相場が続くと見る。楽観心理の広がりが必要な、小型株主導の華々しい上げは見込みにくい。

利上げ先送りは確実

また前述の理由で米国の利上げ先送りは8割方固まったと見られ(だから10年債利回りが2%ちょうどまで下がった)、ドル円は急落したが、その後の動きを見る限り、どっちみち円安のトレンドに変化はなく、ドルの安値を買おうという市場参加者の意識が見られた。

そりゃそうだ、国粋(酔?)主義で人口減少を放置し、財政再建にも経済振興にも不熱心なリーダーが長居しそうな日本で、後生大事に円預金を抱えているままの奴は冥土(めいど)が近いかよっぽどゆっくりした連中に決まってっぺー。

現在、日本には上値を買い上がろうとする積極的な投資家は皆無に近い。他資産との長期相対比較での株式の優位性は間違いないから、いずれ買いが優勢になるものの、個別銘柄の選択、売買タイミング、情報入手にはフルタイムの労働と同等の勉強と時間投入が必要だから、普通の人にはできない相談だ。それでも株の方がよさそうだと判っている新規参入の方々には、まずテクニカル分析の初歩の本を読むようにお勧めする。

上海総合は1600へ

株で損する早道は、短期で儲けたい、人気銘柄で儲けたい、勉強せずに儲けたいという生物としては自然な欲求、行動様式に駆られて行動することだ(カジノのお客に似てる)。しかし相手がいる世界でそのやり方がうまく行く可能性は、でたらめに馬券を買うのと似たようなものだ。本物のプロはその逆をやる。長期覚悟、不人気銘柄大歓迎、理解するまでよく勉強だ。そのチャンピオンは言うまでもなくバフェット氏である。

やっぱり金星逆行の時期は株のポジションを抑えねばならない。高値トライの後、急転直下の下落という展開はもちろん予想外だが、美観、財産、均衡、調和を司る金星が逆行する時期は、不体裁、混乱、対立など、それらにほころびが生じると考えて間違いない。中国とギリシャがその焦点なのは誰も賛成してくれる。7月10日号に「中国発の波乱相場、本番はこれから」と題したが、いかがだったろうか。上海総合の3000は一応のサポートだが、今後は時間を掛けながら2500、2000、1600に接近するだろう。

木村 喜由の『マーケット通信』

Vol.13252015825日)

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