野村萬斎「マクベス」と新アベノミクス相場開始

 

2016・7・18

狂言師野村萬斎が主演、演出してたった5人の俳優で「マクベス」を上演、NY、パリなどで成功。凱旋公演を観に行った。

マクベス

パンフレットを読んだら演出意図が面白かった。幕開けに三人の魔女たちが言う「きれいは汚い、汚いはきれい」。このセリフは「正しいと正しくない」と言い換えることも可能だ。文明生活とゴミ、原発が生む廃棄物、正の財産と負の財産が実は同居しているというのが、このセリフの意味。萬斎は「世の中の何をを見ても、双方向から見ないと公平ではない」という。なるほど。

アベノミクスは失敗なのか

今回の選挙でも、アベノミクスの成長戦略への低評価がずいぶんアンチ安倍と思われる大マスコミで目に付いた。株価が上がっただけ、とか。ひどいところは「なぜ失敗したのか」とまで。私はこうした報道姿勢は公平ではないと思う。

失業率が超完全雇用水準になり、法人実効税率は三年間で37%から29%台に下げ、ビザ発給条件付き緩和で外国人訪日客を短期間に2000万人にした。TPP合意もある。成功した、となんで言えないのか。

一方、岩盤規制とされる既得権益の抵抗も明確に打破されつつある。

36年間も医師会に抑え込まれていた大学医学部新設も2校、農地の株式会社による参加も「特区」を使って風穴を開けた。空港などのインフラも「コンセッション」で民営化が進んでいる。

諸悪の根源はデフレ

にもかかわらず「アベノミクス行き詰まり」説が言われるのは、円高と株安それに例の「保育園落ちた日本死ね」の印象だろう。中国やEUなどの世界の不安が企業行動を極めて慎重にし、設備投資が手控えられ、人手不足でも賃上げの幅は小幅。その代りに150兆円もの企業による預金が、動かざること山の如しで、日本経済全体に沈滞感を与えている。

となればこれだけ金融緩和しても少しも「2%の物価上昇」への期待感が出ない。円高も原油価格低下も重石になっている。円高犠打説は先週書いた。

いうまでもないが、諸悪の根源はデフレにある。

保育所不足、介護士の老人虐待、行政サービスの劣化、政府の借金―。みんな本当にこの国がデフレにならず、世界の普通の国のように日本のGDPが拡大していれば発生しなかった問題ばかりだ。

財政金融で「新アベノミクス相場」

ところが①日本ギリシャ化説②プライマリーバランス黒字化論③ハコもの中心の公共事業不要論が横行している。みんなウソっぱちだ。ここでは省くが、くわしくは内閣官房参与藤井聡京大教授の本をどれでもいいからお読みなさい。(特に「国民所得を80万円増やす経済政策」晶文社)

私はこの7月29日の日銀の決定会合で①マイナス金利の引き下げ②ETFの買い入れ額増加があり、一方安倍内閣側は十兆円以上の財政出動。9月に米FRBの利上げがあって円高から円安への転換と三つが合わさり、この夏は意外高――と思う。すでにここ2週間で出来高を伴って株価は上昇。26週移動平均を上回ったので、買い方はホッとしたことだろう。

早くも「新アベノミクス相場」と名前までついたらしい。私も大賛成だ。特に来年から法改正を行った後に永久債や、企業の持つ大量の銀行預金(150兆!)への課税またはインフラファンドへの投資の税制優遇によるあぶり出しで、日本経済が明確に活性化し、それが3~5年続くという条件だ。

もちろん、イタリアの銀行大手やドイツ銀行の信用問題とかEUという組織の崩壊。それよりも何よりも中国の政争の行方などなど。案外騒がれていないのがお隣の韓国の経済破綻。まあ不安材料はかぎりない。しかし、BREXITを懸念して各国が流動性を供給したせいもあり、肝心かなめのNYダウが新高値更新だ。1万7000円台の上の方に行って少しもおかしくない。

秋から大相場のはじまり

恐らく秋にはどこかからの「大魔王」が天から降りてきて大騒ぎがあって一時的にメチャ安い。長期上昇相場の起点になり、そこから何年かかけて私の目標3万円に到達するだろう。

マクベス第5幕第5場のセリフ「おれは恐怖の味をほとんど忘れてしまった。それが今では恐怖に慣れてしまっている。この血なまぐさい頭にはどんな恐ろしいことでもビクともしなくなってしまった」。

ブラックスワンはどこにいてもおかしくない。財政金融良政策の効果で、内需中心に成長性を取り戻し、名目GDP600兆円が達成されるメドがつく―。このシナリオを織り込む大相場の開始。コワーいお話しは、カヤの外に。

野村萬斎「マクベス」と新アベノミクス相場開始(第835回)

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ
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