【初・中級者向き】映画「怒り」とヒラリー重病説とトランプ

 2016・9・19

%e6%80%92%e3%82%8a

吉田修一原作、李相日監督というと6年前のヒット「悪人」が記憶に残る。今回の方が映画としては出来が良い。八王子で発生した夫婦殺人事件が始まりで、犯人は名はわかったものの顔を整形して逃亡、行方がしれない。

2007年の英国の若い美人リンゼイさん殺害事件の犯人市橋達也が整形して無人島に潜伏。この事件が下敷きだが、犯人探しのミステリーではない。

殺人から1年後、三つの場所に素性の知れない三人の男が現れる。東京、千葉、沖縄で。それぞれいわくありげで周囲の人たちは、はじめは信じていたものの、次第に信じられなくなってゆく。人間の本質に迫る重厚なドラマだ。

俳優がいい。宮崎あおい、松山ケンイチ、渡辺謙、妻夫木聡、広瀬すずー。熱演だ。坂本龍一の音楽も素晴らしい。今年のベスト・テンに入るだろう。

ヒラリー重病説で揺らぐ当選シナリオ

映画の中で犯人が顔を整形して別人に成りすましたように、いまヒラリー・クリントンの病気が「肺炎」で「元気に行脚を再開する」というのはウソだ、と私は推測する。ウェブサイトではパーキンソン氏病と確信している医師が多い。私のNYの友人もこの見方を支持している。

ユーチューブでみるとパーキンソン氏病症状と治療薬(レポドバ)の副作用が何回も見られる。TVの対談で大きく首を振り続けたり、不随意運動と呼ばれる不自然な動きがみられる。このほか、動作の緩慢さ、筋肉の硬直など、慌てて側近が駆け寄るシーンもユーチューブに。

別の投稿した医師は「パーキンソン病ではなく脳疾患からくる血管型認知症だ」とも。痰を伴わない咳もヒラリーの場合は極めてしつこい。

ヒラリーの最重要側近の黒人男性は「メディカル・医療担当」との身分証が発行されているが、必ず黒い棒状の注射器を持っている。緊急事態への準備だろう。

フェイスブックにはヒラリーが演説中に緑の球を吐き出すシーンも映されている。

9月13日、ウォールストリートジャーナル紙は社説で「クリントン氏もトランプ氏も医療記録を精査して公開せよ」とし、2008年の共和党ジョン・マケイン氏の例を挙げた。マケィン氏はベトナム戦争での長期の拷問やがんで大統領職をこなせるかが疑念を持たれたが、医療専門家に1000ページ以上の医療記録を精査させた。今回はクリントン氏は2ページ、トランプ氏は1ページの「極めて良好な健康状態」と云う、まあ適当に書かれているとしか思えない発表だけ。

となると、ヒラリー当選のシナリオは少々あぶない。①当選しても実際の政治はティム・ケイン副大統領が仕切る②トランプが大統領の二つ。

軍産複合体の復活

②の場合、ここ1週間の短期間に不思議なことがあった。トランプは何と①元CIA長官だったジェームス・ウールジーを安全保障問題顧問②ヘリティジ財団のアナリストのスティーブン・ムーアを経済政策顧問として雇った。

トランプはイラク進攻を愚策として強く批判し軍産複合体を敵視しているが、軍産をバックにしたネオコンの一員のウールジーを雇った。しかもこの人は元民主党支持者だった。

TPP反対、自由貿易否定もトランプの持論だが、ムーアは自由貿易推進論者である。

7月にムーアがある会場でトランプ政権下の経済政策として、①米政府のエネルギー省、商務省、教育者を廃止②貧困家庭への救済援助廃止③石油、ガス(シェールガス含む)すべての規制の撤廃、を主張した。

ウラを読めば、アメリカを実質支配している軍産複合体、メジャーオイルの意を迎える人事である。ウォール街はカヤの外だが。

NY発の大魔王?

順番は逆だが、①のティム・ケイン副大統領候補を紹介しておこう。

この人はハーバード大ロースクールを出て市民権派弁護士、1994年バージニア州リッチモンド市会議員、同市長・同州知事、その後上院議員で、三職をつとめた政治家は米国史上30人しかいない(ケイン事務所)。上院では外交、軍事委員会に属している。

私はネット上ではHilaryならぬillaryと呼ばれているのは気の毒と思う。NYダウは重病説がネット上に流れた9月9日の金曜日394ドル安、翌週月曜は式典の中途退場もあって292ドル安だった。私は「この秋、どこかから『大魔王』が来る」と予測してきたが、どうもNYから、となる可能性を否定できない。クワバラ、クワバラ。

映画のセリフから。

ゲイの藤田優馬(妻夫木聡)は同居していた大西直人(綾野剛)を一時は犯人と疑うが、実際は心臓の病で死亡していた。そのことを妹が言う。「ゲイはずっと隠れて生きていくしかないと思ってたけど、いま一緒に暮らしている優馬さんはそうじゃないって、堂々としているんだって。」

ヒラリーが万一、重病だったとしても、堂々と生きてほしい。

映画「怒り」とヒラリー重病説とトランプ(第844回) 

 

 

今井澂(いまいきよし)公式ウェブサイト まだまだ続くお愉しみ

ジャイコミ有料記事テキスト画像

関連記事

今井澈のシネマノミクス

映画「ロシアより愛をこめて」とロシアのウクライナ侵攻。NYと東京市場の猛反発を私が予想する理由(第1104回)

「ドクター・ノオ」に次ぐ「007」ものの第2作、シリーズ最高傑作とされている。オリエント急行車内で

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

映画「殿、利息でござる」と安倍首相の逆転の発想

2016年5月22日 磯田道史さんの「無私の日本人」を中村義洋博監督が映画化。羽生結弦が伊達藩

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「知りすぎていた男」と想定外のリスク

2017・3・20 先々週ヒッチコックの名作を書いたら、何の因縁かBSで56年の「知り

記事を読む

今井澈のシネマノミクス

【初・中級者向き】映画「シン・ゴジラ」とリオ五輪閉会と株・円

  2016・8・21 「ゴジラ」ものは1950年以来、10年に1回ぐ

記事を読む

投資の羅針盤
年初来の市場乱高下は経済危機の前兆か

日本個人投資家協会副理事長 岡部陽二 年初早々から大波乱に見舞われた株式市場は、1月22日に至って

記事を読む

PAGE TOP ↑