映画「空白」と、恒大問題で一時的に下げた相場、そしてジム・ロジャーズの戦略第1082回)

恐らく今年の邦画のベストスリーに入るであろう傑作。主演、助演の俳優がみなうまい。作品賞、主、助演賞をかっさらうのではないか。監督は「ヒメノアール」の吉田 恵輔。

舞台は、漁港のある田舎町。

女子中学生が万引きをしようとしたところを、店長(松坂桃李)に見つかり、逃げようとしたところを車でひかれてしまう。親の充(古田新太)は娘が万引きするわけがないと信じて、関係者を厳しく追及するモンスターになってゆく。

マスコミも参加し、車を運転していた女性を含め、事態は思いもよらない結末を迎える。

前回のコラムで、恒大問題も短期で終るとみていたが、やはり物の見方にはいろいろあるもので、弱気の人も多い。

機関投資家は株と債券を共に大量に保有している。とりあえず債券から売った。米国10年債利回りは1.2%台から1.5%台に上昇。NYも日本も株価は下った。日本国債の10年もの利回りも、ひところの0.2%台から0.5%台に上昇している。

そのつもりで見ていると、米中の対立の方もおかしなところはずいぶんある。

たとえばブラックロックは1000億ドルの投資を対中国に投資し、ゴールドマンサックスは子会社(在中国)の持ち株比率を100%にした。これでは恒大集団の被害が、米国にも及ぶとの見方が拡まっても仕方がないだろう。

早速引っぱり出されたのがジム・ロジャーズ氏だ。

同氏は1930年代の大恐慌のようなリスクが、現在3つもあると指摘した。

①デフォールト(債務危機)

②デストロイ・カレンシー(通貨危機)

③シューティング・ウォー(ホットな戦争)

この結果、2022年には、ベアマーケットが出現する。

その場合、ロジャーズ氏のお好みは、まだ出遅れて割安感のあるコモディティ、特に農産物、例えばコーン、大豆。

次に銀、そして砂糖、これらに分散投資せよ、と説く。

私の見方は次の通りである。

2022年、特に後半には、現在の相場を支えている過剰流動性は終る。 それは確実。

しかし、金融相場から業績相場に移るので、金利は上昇し、物価は上がる。

肝心の企業収益は日米ともに上昇する。ペントアップ・デマンドの巨大さは、米国の港に停泊している船舶の量を見ればわかる。

ジム・ロジャーズ氏のいう「ホット・ウォー」は前記した米国巨大資本の対中姿勢から見て当分、ない。

私は2024年、米国大統領選挙と台湾の総統選挙が重なる夏ごろが危ないとみているが、まださきの話だ。ことしと来年前半は株式にとって先行きの景気上昇期待と企業収益向上を期待、依然滞留している過剰流動性、と理想的な投資環境。 

私の強気は全く変わらない。9月末の特殊事情のための一時的な株安なので、心配の必要はない

自民党新総裁は、先週述べた通りの理由でGOTOを再開。恐らく「GOTO2」と名付けられるだろう。

関連する注目株をいくつか。(推奨ではありません)

①カカクコム(2371) 「食べログ」を運用している ②JR東海(9022)東海道新幹線の運用者 ③エイチ・アイ・エス(9603)旅行プラン ④ANA(9202)国内旅行便のナンバーワン。

あとオリエンタルランド(4661)浦安のテーマパークを運用

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