映画「コーダ あいのうた」と低下し続ける金価格の今後。NY株安。私の強気(第1116回)
「CODA」とは「耳の聞こえない両親から生れた子供」という意味。第94回アカデミー賞作品賞を得た秀作。耳の聞こえる美声の娘の物語だ。
私の心を打ったセリフを始めに書く。(もちろん手話だ。)
「何かが失われるが、しかし毎日、何かを得る。(物事は)両方のサイドから見なくてはならない」
物事はたしかに両サイドから見なくては、金価格が上昇のあと下落したことへの解釈は「両方」から見なくてはならない。
このところ私のところに「金の先行きを教えてください」というメールが多く来ている。
それもそうだろう。4月18日にオンス2051ドルまで急伸したのが、最近は1800ドルの大台の下の方。
グラフが示す通り下げ方がきつい。
理由は誰も言っている通り、米FRBの金利引き上げ。それも0.5%を2回と方針を決めた。
無利子、無配当の金が不利なのはいう迄もない。
しかし私は「コーダ あいのうた」がデフの人たちを対象にしているように、本当の材料に対して聞こえない状況に
置いて行かれていると思う。
その本当の材料とはロシアの金本位制だ。
ロシアは金本位制への準備を始めた、という観測が具体性を帯びている。
3月28日、ロシア中銀1グラム5000ルーブルで金地金を買い始めた。その後、交渉により時価で買い取ることにしたが。
4月29日にはロシア政権が金資源本位制を正式に検討していると発表した。
この材料で、なんで金位格の下落につながったのか。
米国のヘッジファンドや機関投資家は、余り価格が高いとロシアを利するとの思惑から、売り中心になりやすい。
当分、戦争が続いている限り、金価格は上昇しにくいとみる方が妥当と思われる。
しかし、この下げは買い方にとって大チャンスである。
第一に表に示した通り、16年間の金価格の動きは、平均で日本は8.0%、米国で7.9%。
悪い数字ではない。
第二に米FRBの金利引き上げは、過去の例では金価格上昇となりやすいという経験則。
ピクテ投信投資顧問によると、過去30年間の金利引き上げは、
- 1994年2月4日
- 1994年6月30日
- 2004年6月30日
- 2015年12月16日 の4回。
利上げ開始日から6ヶ月後で10%、2年後に20%上昇した。
では、イマイさん、何を買ったらいいの?
私は孫のために現物を買って、銀行に預けているが、もっと若い人のためには、純金上場信託(現物国内保管型)
コード1540がいい。非課税が魅力だ。ウラ付けとなる金現物を国内で保管している。手数料がかかるが、金を1キ
ロ以上5キロ迄なら現物と交換可能である
NY、特にNASDAQがひどい下げだ、金利を上げているうちはまあ仕方がない。しかしイールドスプレツドから見ると
そろそろ目先の底値。日本の方はNYがさげても寄り付きは下がるが、終値は上昇している。私は強気だ、四万円の目標は
変えない。
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