木下順二「巨匠」と対ドル120円の円高。そして米国の景気後退
木下順二「巨匠」と対ドル120円の円高。そして米国の景気後退
2023・12・17(第1204回)
劇団民藝の「巨匠」を久しぶりに観た。1991年に名優・滝沢修主演で観て、強い印象を得たので、どんな風に演じるのかを知りたかったからである。結果は――、退屈だった。感動が少しもなかった。
劇そのものは面白い。ポーランドのTVドラマから木下順二氏が書いたドラマ。
1944年。ナチス制圧下のポーランドの田舎町の小学校に5人の男女が住んでいる。
そこにゲシュタポがやって来て、ポーランドのレジスタントが鉄道爆破を行った。報復として4人の知識人を銃殺すると言う。
<劇団民藝ホームページより>
1人の簿記係が「自分は俳優だ」と言い、「マクベス」のセリフを朗読する。「知識人」として銃殺されることを知りながら。そして4発の銃声!
観客は、このナチスの制圧がその後1年余りでなくなったことを知っている。
同じように、現在の経済事象が、大きな変化をとげる前兆がみえ始めている。
まず円安。現在も1ドル140円台だが、来年春の春闘賃上げが実施されるころには、日銀はマイナス金利解除に動く。
オックスフォード・エコノミクスによると「長期金利は1.5%近くまで上昇する」。一方米国FRBも2024年第1四半期に利下げを実施すると、日米の長期金利格差は4%から2%に縮小する。円レートは110円から120円になるだろう。
一方、米国の景気後退の匂いが濃く出て来ている。
チャートに示してある通り、トラック輸送が減少しはじめている。GDPの6%を占め、重要な景気参考指標である。2000年、2008年のあとを追い、しかも急速に悪化していることが明瞭に読み取れる(2つのチャートは大井幸子さんの資料から頂いた。記して感謝する)。
さて、これが米国大統領選に影響をもたらすことは言う迄もない。やはりトランプ第2期は確実とみて良い。となれば米国景気を思い切って悪化させ、次の時にぐんと良くすればいい。米国不況は深刻化し、NY株式市場も下げると私は考える。
一方、日本株。前回ご紹介した伊東秀広さんは私に電話して来て「一たん年初来高値を更新して、その後下落」として来た。ご参考までに。
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