トランプ政権と暗号資産業界との利益相反
2025・9・7(第1289回)



<ドナルド・トランプ(左)と長男ドナルドJr(中)、次男エリック(右)。ウィキペディアより>
先週私の病状について、お話するとしたが、90のジイサンのケガの状況なんて、興味あるはずがないので、省略。
今回は進展しつつあるトランプ政権下の暗号資産の法制整備が、実はトランプ一族の私的財産増につながる。つまり、実は長男のドナルド・トランプ・ジュニアと次男のエリック・トランプ両氏がステーブルコインを展開するWorld Liberty Financialをはじめとする複数の暗号資産プロジェクトに関与している。明らかな利益相反である。
昨年の大統領選で、暗号資産業界は2億5000万ドル(約376億円)を献金した。しかし最近になって不満なようだ。野村総研の木内登英さんによると――
「そうした中、暗号資産業界はトランプ政権に対して、大統領選挙時の献金に見合った恩恵を受けていない、との不満を現在募らせているとされる。
ステーブルコインの規制整備を進めたGENIUS法の成立は、暗号資産業界にとって利益となるが、他方で業界が本来求めているのは、暗号資産業界全体の規制環境を整備することだ。それを進めるのが、現在議会で審議されている「CLARITY法」だ。
米国では、暗号資産の規制を巡って2つの主張が対立してきた。第1は、暗号資産(の一部)を証券とみなし、証券取引委員会(SEC)が証券関連法に基づき、暗号資産や暗号資産取引所を厳しく規制していくものだ。第2は、商品先物取引委員会(CFTC)が暗号資産(の一部)を商品とみなし、暗号資産や暗号資産取引所を比較的緩やかに規制していくものだ。
暗号資産業界は、CFTCが主導する形での緩やかな規制を望んできた。そのためのロビー活動も盛んに行ってきた。その代表的な人物が、2022年に顧客資産の不正流用や杜撰な経営が明らかになり破綻に至った、FTXのバンクマン=フリードCEO(最高経営責任者)だった。
FTXの破綻をきっかけに、暗号資産業界への規制強化を求める声が強まり、CFTCが主導する緩やかな規制環境を整備するという流れは後退した。そして、SECのゲンスラー委員長は、暗号資産業界への法規制がいまだ整備されないもと、コインベースやクラーケンなどの取引所に対して、運営の一部として提供する商品が、実質的に証券に該当するとして訴訟を起こしてきた。
また木内さんはこうものべている。
トランプ政権と暗号資産業界の蜜月関係に溝
民主党政権の下、SECのゲンスラー委員長が進める規制強化に反発して、暗号資産業界は、共和党により接近し、大統領選挙でトランプ候補の支持に回った。
暗号資産業界は、GENIUS法とCLARITY法を統合して、より包括的な暗号資産業界への規制体系を作り、さらに、CFTCが主導する緩やかな規制環境の確立をトランプ政権に求めたという。しかしそれをトランプ政権は受け入れず、GENIUS法の成立を優先させた。業界がより重視するCLARITY法については、別途成立させるとしてトランプ政権は暗号資産側の要求を退けた。
トランプ政権は、将来の政権交代を睨んで、暗号資産業界が民主党との関係も維持していることに強い不満を抱いているともされる。
このように、トランプ政権と暗号資産業界の蜜月関係には溝が生じているようだ。」
こうした状況下で、トランプ氏が同盟国をキズつけていることに対し、8月22日付の英フィナンシャルタイムズ紙は「山賊行為」とまでののしっている。
「今では、トランプが(自分の個人財産の問題は完全に無視して)税収を得るために貿易相手国や企業にたかる恐喝は、まるでマフィアのボスか、発展途上国の縁故資本主義の独裁者だと指摘するのが一般的になっている。
実際、あのたかりはもっとたちが悪い。
(中略)関税をかけられたくなければ投資しろとスイスに要求したとの報道や、半導体メーカーのエヌビディアとアドバンスト・マイクロ・デバイス(AMD)に中国向け半導体の売上高の15%を上納する仕組みを突然設けたことを考えてみるといいだろう。
(中略)トランプが関税交渉で差し出した利益は、実現されなかったり、合意締結からほどなくもめ事になったりする場合が多い。
5月に合意したみかじめ料相当額をほかの国々に先駆けて支払った英国は、鉄鋼の輸出の一部に関税をかけないという利益の一部をまだ手に入れていない。
7月に成立した日本との合意でも、投資と輸入税をめぐる取り決めで争いが生じ、合意はあっというまに不確実性の霧の中に突入した。
EUは、トランプが何を望んでいるのか分からないと不満を漏らし続けた。彼の要求に一貫性があると決めてかかるのは間違いなのだ。」
これだけ英国の新聞「が悪口をいえるんだから私なんかバカみたいにおとなしい。誕生祝いにメールやTELをずい分いただいたが「イマイ先生、CIAに殺されるんじゃないの?」なんてヤジ馬もいた。ご心配は無用である。
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