映画「シェフ」とNY暴落でも東京は大丈夫、のワケ。近づく“ベンガジゲート”
今井澂・国際エコノミスト
公開日:
:
最終更新日:2015/03/11
マーケットEye 今井澂, 今井澂のシネマノミクス
(ジャイコミ編集部より)今回から、国際エコノミスト・今井澂氏の公式ウェブサイトのコラム「まだまだ続くお愉しみ」をジャイコミに転載させていただけることになりました。長年の経験と幅広い情報源に基づいたマーケット観測を、選りすぐりの最新映画に絡めた人気ブログです。初回からアメリカを揺るがすホットなトピック、毎週月曜をお愉しみにどうぞ!
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今週は「6歳のボクが大人になるまで」と「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」の2本を観た。「6歳―」の方は日本の批評家がアカデミー賞本命と高評価だったが、ヤマもなくテーマも大したことなく期待外れ。
一方、「シェフ」の方が楽しく私は笑いっぱなしだった。父子鑑賞に適しているが、下ネタが多いのは玉にキズ。エッチな歌も流れるし、「テッド」がこのタイプのコメディだったなあ。
一流レストランのシェフが評論家来店の日に創意工夫のないマンネリ料理をオーナーに押し付けられ、大ゲンカ。結局辞めたシェフはおんぼろの中古トラックを入手して、キューバンサンドイッチの移動販売を始める。ロードムービーでもあり父子ものでもあるコメディ。料理のシーンが続々出てきて、しかもおいしそう。「たんぽぽ」みたいな料理映画としても十二分にエンジョイできる。
私がいわゆる日本超インフレ、国債大暴落説に大反対の強気なことは、ご存じの通りだ。しかし先日旧知の資産運用会社社長とパーティであってこういわれた。
「イマイ先生、いくら強気のあなたでも何か予想もしていないキッカケがあって、長期金利上昇(国債価格下落)がある可能性が、本当にゼロと言い切れますか。1%未満でも、あるとお考えでしょ?」(そりゃそうだが、やはりないと考えるんだから仕方がない)。
「では、そうした見方でキミは現在運用してるの?」「やってますね。」
国債暴落を想定する資産運用会社は何を買っているのか
もちろん具体的な銘柄は企業機密で云わなかった。しかし、考え方としては、よくわかる。要するに海外市場で確固とした市場を持ち収益力が高い「全天候型銘柄」がいい、ということに違いない。映画の中のシェフが一流のレストランから追われても、サンドイッチで復活したように。
すぐ思い起こしたのは、コマツ、ユニ・チャーム、それにごく最近材料が出て注目されているピジョンだった。ポートフォリオの中に長期保有で入れておくことは賢明と思う。
このほかにも見つけたらご報告しよう。ある著名な投資コンサルタントに話したら、デンソーも、という。いいかも。
オリンピック前に活況呈する産業は
もうひとつ。最近、竹中平蔵さんの講演会に2回行って(全く同じ話だったので聞いている方は多いだろうなあ)ヒントを得たので。それは「しめきり産業」。
竹中さんも「原稿はしめきりがあるから書くんです」。へえ、私と同じなんだ。
前回の東京オリンピックの時、いろんな産業で、締め切り時間に合わせていろんな知恵が絞られた。
新幹線、ホテル、首都高速などがそうだったが、たとえばホテルのバスルームをユニットで作ってハメこむテクニック。冷凍して大量の食材を蓄積し、各国の選手に料理を出すビジネスモデル(竹中さんは現在のファミレスはこのモデルで出来たと)。なるほど。
そして警備保障。警察官だけじゃ防犯、警固などに人手が足りない。東京オリンピックの2年前にセコムがたった3人で発足した。いまはCSP(セントラル警備保障)もある。何かこのほかにこのアイディアだと、新型産業が出てきそう。
「全天候型銘柄」も「しめきり産業」も押し目買いで
問題点は「全天候型」も「しめきり」もPERがメチャメチャに高いこと。高すぎるので押し目を作ってくれないと買いにくい。それでも魅力的な投資銘柄選択シナリオであることに変わりはない。どうぞご検討を。
映画のセリフから。シェフが評論家にケンカを売ってウェブサイトで炎上して嘆く。「オレはピアノをひくネコだあ」「その意味は」「要するにオモシロネタなんだ」
私が全天候型銘柄をおすすめしたからと言って日本破滅説に賛同したとは思わないでほしい。今回のフォーチュン誌の記事のようにH・F(ヘッジファンド)はいろんな形で市場攻撃をしてくるから。
雇用統計良好でもNYダウが大幅に下げた理由
とても大事なことをひとつ。3月6日(金)のNYダウは278ドルの大幅安になった。暴落といってもいい位だ。労働統計が29万5000人と予想の25万人を上回るいい数字だったにもかかわらず、この下げになった(金利は0.012%上昇と小幅)。
深夜のSNBCで売り材料に「ヒラリー・クリントンのメール問題とベンガジ」と報じ、ウオールストリートジャーナルも同様。ワシントンの政治の混乱が起きている。
私が日本で唯ひとり、著書にまで書いて報じてベンガジゲート事件が問題化され、市場はこれまでも三ケタ安で反応してきたが、今回が最も下げ幅が大きい。
拙著「2015年日本経済のシナリオ」に詳しく書いておいた(p22~48)。月曜の日経が見ものだし、恐らく2,3週間遅れて東洋経済、エコノミスト、ダイヤモンドも書くだろう。
「ベンガジゲート」暴露の時期は早まった
このブログの読者はご存知だが「ベンガジゲート」とは概略次の通り。
リビア第二の都市ベンガジで2012年9月11日、アルカイダの武装部隊が米国領事館を襲い、ロケット砲で米大使ほか3人を殺害した。
前年5月のビン・ラディン殺害で、もうアルカイダは首を失ったから大丈夫、と宣伝していたオバマに大打撃。しかも再選を狙う選挙戦の最中。そこで「マホメットに批判的なユーチューブに抗議した群衆に殺された」とウソの発表せよ、とオバマは国務長官ヒラリー・クリントンに電話で命令した。大統領が違法行為を行ったことがかつてのウオーターゲート事件に結びつくので「ベンガジゲート」。
共和党側としては2016年の大統領選で最有力のヒラリーを「嘘をついた」と足をひっぱる。
「必ずやる。しかし年後半」と私は考えていたが、時期は早まった。
米国株は恐らく1割ぐらい下げるのではないか。ただ日本株は大丈夫。今週13日(金)のSQとNYへのお付き合いで多少下がるだろうが、見ていてごらんなさい。すぐに反発するから、絶好の押し目。
映画のシェフはハッピーエンドだった。皆さんのご投資も。
映画「シェフ」とNY暴落でも東京は大丈夫のワケ(第765回)
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