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井上靖「敦煌」と永い間放置されていた事象三つと当り屋のNY株への警戒説、それとジョージ・ソロスの大転換(第1076回)
シルクロードブームを巻き起こした井上靖の名作。私にとっては亡母今井満里が、たしか二回目の敦煌訪問に井上先生と同行し、現地で拾った陶片を大切に持ち帰った。その時の母の嬉しそうな顔を私は忘れない。後に書家で日中友好協会副会長だった母は「熱砂無限」という代表作を書いた。 佐藤浩市主演で映画にもなったので、ストーリーをまとめる。時期は11世紀、北宋時代だ。 主人公の趙行徳は官吏登用試験に
大谷翔平の二刀流と、人口減少でダメなはずの日本で株高が発生するワケ(第1075回)
日本人にとって最も嬉しいニュースは、エンゼルスの「オータニサン」 のホームランか勝利だ。メジャーリーグでホームラン首位,投手で五勝! 野球評論家の「二刀流はムリ」という説が否定された。嬉しい誤算という ほかない。 いま、株高を支援する材料が、二本立てになっていることは、もっと注 目されていい。 株高を支えるもっとも重要材料が企業収益であることは誰でも知って
映画「北京の55日」と習近平の自国のハイテク企業叩きとチャイナショック (第1075回)
チャールトン・ヘストンとエヴァ・ガードナーそれに伊丹十三が出演した歴史 スペクタクル映画。1963年の作品だ。 1900年に清国内で起きた宗教団体義和団の外国人排除運動が高じて、 11カ国の居留民3000人が攻撃の対象になった。守る水兵、海兵隊は わずか500名。 本来なら中国側は、外国人を守るべきだが、清王朝は宣戦布告した。 狂気の沙汰というほかない。
サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」と、タイタニック・シン ドローム、そして仏大統領マクロンの発言と金価格 (第1074回)
1874年にヴァイオリンの超名人でスペイン国籍のサラサーテが作曲し た名曲。鈴木清順監督が同名の映画を作ったし、スケート世界一の羽生 結弦選手が2021年に使っている。 導入部はゆっくりとした悲しげな旋律。中途がハンガリー民謡を使い 「ジプシーの月」という名でポピュラーソングにもなった。 これが一転して終わりには極めてテンポの早い、また極度の高技術を 要す
孔明の「天下三分の計」と私が常識外れの意見を大相場説とからめて喜んでいるいきさつ (第1073回)
三顧の礼をもって迎えられた孔明が劉備に述べた大構想である。これで一介の軍閥の長に過ぎなかった劉備は,蜀の皇帝にまでのぼりつめた。 私が今回の相場が、大変に長期でしかも上昇幅の大きい大相場だ、と言うと必ずこう反問される。 「人口ガ減り、老齢化してゆく日本が、何で株だけ上がるんですか?」 私はこう返事してきた。 「私はこれまで、予想を的中させました。ほんの三年前に「日経平均三
宮本武蔵「五輪書」と今回の「ド」を予感した背景と 来週以降の株価の反発。私の強気(第1072回)
「五輪書」は宮本武蔵の書いた兵法書。地水火風空の五巻から成り立っている。この書の目的は実戦に役立つ兵法の伝授。 すでに三十年間戦闘はなく、剣術の稽古は道場でのみ。武蔵は合戦を知る最後の世代として、後世に自分の経験を残そうとしたのである。 今の相場と一般の認識と似ている。理由を述べる。 五十、六十代のリーダーたちは負け戦つまり下げ相場しか知らない。長期上昇相場を知っている86歳の
ボーヴォワール「老い」と私を悩ませている七つの不安 (第1071回)
私は来月に86歳になる。おかげさまで、元気そのもの。世田谷区 から歯が20本以上あるので表彰された、また記憶力も衰えていない。 この大相場への強気も変わらない。 しかし永遠に上げ続けることはない。最近「終わりの始まり」を感じ させる動きが散見され始めた。 指を折ってみたら七つもあった。 山登りに例えると六合目くらいと思うが、年の後半のどこかで、何か 現実